
彫刻屋台とお囃子が彩る鹿沼秋まつり 地域に息づく200年の伝統
栃木県鹿沼市で10日、11日の2日間にわたり「鹿沼秋まつり」が開催された。「鹿沼今宮神社祭の屋台行事」は、全国33の祭礼行事とともに「山・鉾・屋台行事」の一つとして、2016年にユネスコ無形文化遺産に登録された。今年は登録10周年にあたり、8年ぶりに27台すべての彫刻屋台がそろう特別な年となった。秋晴れに恵まれた11日、華やかな彫刻屋台とお囃子でにぎわう鹿沼のまちを歩いた。
鹿沼秋まつりと彫刻屋台の歴史
鹿沼秋まつりは、まちの中心にある今宮神社を舞台に、400年以上にわたって受け継がれてきた祭りだ。その起源は、1608(慶長13)年、日照りに苦しむ人々が雨を願って祈ったことにさかのぼると伝えられている。
祭りの象徴である彫刻屋台は、もともと神社に奉納する踊りなどを披露するための、簡素な屋根付きの舞台だった。江戸時代後期、祭りが盛んになるにつれて屋台が新たにつくられたり、つくり替えられたりし、黒漆塗りや彩色、精緻な彫刻など、さまざまな装飾が施されるようになった。
鹿沼はかつて日光へ通じる街道の宿場町として栄え、日光の社寺建築に携わった彫刻師たちの技術も、屋台づくりに影響を与えたとされる。江戸時代後期につくられた屋台の中には、200年以上の時を経た今も、祭りに登場するものがある。
町ごとに受け継がれる彫刻屋台
鹿沼の彫刻屋台には、鮮やかな彩色が施されたものもあれば、年月を経て深みを増した白木の屋台もある。彫刻の意匠も色合いも、一台一台異なる。
それぞれの町内で大切に守り継がれてきた屋台が、祭りの日、一堂に会する。その光景もまた、鹿沼秋まつりの魅力だ。




世代を超えて支える祭りのにぎわい
屋台の中では、揃いの

印象的だったのは、若い人たちの姿が思いのほか多かったことだ。女性の参加者も目立ち、太鼓をたたく姿も見られた。
また、着物にカンカン帽を合わせた年配の男性たちの姿も多く見られた。悠然とまちを歩く粋な装いも、祭りの風景を彩っていた。

長い歴史を持つ祭りは、今もまちの人々の手によって、生き生きと受け継がれている。華やかな彫刻屋台とお囃子、そして祭りを楽しみ、支えるさまざまな世代の人々。その姿からは、伝統が今も地域の暮らしに根付いていることが伝わってくる。
(冒頭の写真は、黒漆に金色の獅子が映える上材木町の彫刻屋台。今年は今宮神社に入る屋台の先頭となる「一番町」を務めた。)

