火星衛星探査機MMX、初期運用を完了 試料採取へ一歩

火星の衛星から砂などの試料を持ち帰ることを目指す日本の探査機「MMX」が、打ち上げ直後の初期運用を終えた。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は21日、探査機の健全性が確保されたことを発表した。MMXは前日の20日、H3ロケット10号機で種子島宇宙センターから打ち上げられた。

初期運用では、電力を得るための太陽電池パドルを展開し、探査機の姿勢を確立したほか、地上との通信に使うミドルゲインアンテナの固定を解除した。JAXAは、これらの作業が正常に完了したことを確認した。今後は搭載機器の動作を順次確認し、探査に必要な機能を整える。

MMXは約1年かけて火星圏に到着し、主な探査対象である衛星フォボスを詳しく観測する。地形や表面の物質の成分などを調べて着陸地点を選び、まず搭載ローバー(探査車)で表面の物理的な性質などを調査する。その後、探査機本体が着陸して10グラム以上の試料を採取し、地球へ持ち帰る計画だ。

さらに、火星のもう一つの衛星ダイモスも観測し、2つの衛星の起源や進化を調べる。火星とその大気も観測し、物質が大気中を循環して宇宙空間へ失われる仕組みの解明を目指す。

MMXは2030年に火星圏を離れ、2031年に試料を収めたカプセルを地球へ帰還させる予定だ。持ち帰った試料は地上の研究施設で分析する。

フォボスの起源には、火星への大規模な天体衝突で生じた物質から形成されたとする説と、別の場所で形成された小惑星が火星の重力に捕らえられたとする説がある。試料の分析と火星圏の観測を通じて、火星とその衛星がどのように形成され、進化してきたのかを明らかにする狙いだ。また、生命に必要な水や有機物が太陽系内をどのように移動したのかを探る手掛かりも得ようとしている。打ち上げから地球への帰還まで、約5年にわたる探査となる。

(冒頭の写真は、2026年版のMMX探査機の火星周回軌道投入マヌーバのイメージ 提供:JAXA)