
惑星規模の衝突で生まれる塵 ウェッブ望遠鏡で衝突の違いを探る
地球と月は、約45億年前、形成初期の地球に火星ほどの大きさの天体が衝突し、飛び散った物質の一部が集まって月になったとする説が有力だ。では、ほかの惑星系では、どのような衝突が起きているのだろうか。米国の宇宙科学研究所などの研究チームは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などの観測から、恒星の周囲に漂う塵の成分を分析し、惑星の形成や破壊につながる衝突の特徴を調べた。この研究は10月1日付の学術誌『The Astrophysical Journal』に掲載された。
研究対象は「極端なデブリ円盤」と呼ばれる構造21個だ。「デブリ円盤」とは、惑星や小さな天体の衝突などで生じた破片や塵が、恒星の周囲を取り巻く構造を指す。そのうち「極端なデブリ円盤」とは、恒星の光の約1%以上に相当するエネルギーを赤外線として放出するほど温かい塵が大量にあり、赤外線の明るさが不規則に変動するものを指す。研究チームは、こうした特徴を持つ円盤について、ウェッブ宇宙望遠鏡による観測データと、過去にスピッツァー宇宙望遠鏡が集めたデータを合わせて分析した。塵が放つ赤外線を詳しく調べることで、どのような鉱物が含まれるかを推定した。
その結果、21個のうち8個はシリカ(二酸化ケイ素)を豊富に含み、残りの13個はシリカが少ないと分類された。シリカは、地球上では石英や砂の主成分として知られる物質だ。研究チームは、シリカが豊富な円盤について、火星ほどの大きさの天体同士が激しく衝突し、岩石の一部が蒸発した後、冷えて固まる過程でシリカを含む塵が生じた可能性があるとみられる。一方、シリカが少ない円盤では、月ほどの大きさの天体同士の衝突など、比較的エネルギーの小さい衝突が考えられる。これらは塵の成分や衝突を再現する計算などに基づく推定で、衝突そのものを直接観測したわけではない。
また、シリカが豊富な円盤は、今回調べた範囲では、年齢が3億年未満の恒星の周囲でのみ確認された。この傾向は、惑星系が形成されて間もない時期に、岩石の一部が蒸発するほどの激しい衝突が起こることを示唆している。ただし、年齢に関する観測例は限られており、今後の観測による検証が必要だ。今回の研究は地球と月の誕生を直接証明するものではないが、遠方の惑星系に残る塵を手掛かりに、惑星が形成される過程で起きた衝突や、その後の進化を理解する助けになる。
Credit: NASA, ESA, CSA, J. Olmsted (STScI)(恒星の周囲を取り巻く「極端なデブリ円盤」の想像図。惑星のもとになる天体同士の激しい衝突によって、大量の塵が生じる様子を描いている。)

