
宇宙ごみの発生防止と回収実現に向けた新技術 軌道上で実証 静大ら
ペースデブリ(宇宙ごみ)の増加を抑え、安全で持続可能な宇宙利用を目指す技術実証が進んでいる。株式会社BULLの宇宙デブリ化防止装置「HORN」と、静岡大学の超小型衛星「STARS-X」は、6月12日に打ち上げられたH3ロケット6号機によって軌道へ投入された。両者はそれぞれ、運用を終えた衛星を速やかに軌道離脱させる技術と、将来的なスペースデブリ回収につながる技術の実証を目指しており、宇宙環境保全に向けた日本の技術開発として注目されている。
スペースデブリは、運用を終えた人工衛星やロケットの一部や衝突によって生じた破片などのこと。すでに地球周回軌道には数万個を超える追跡可能なスペースデブリが存在しており、運用中の衛星や国際宇宙ステーションとの衝突リスクが懸念されている。現在のところデブリ同士が次々と衝突して増え続ける「ケスラーシンドローム」は起きていないが、スターリンクなど多数の小型衛星を連携して運用する「衛星コンステレーション」の増加に伴い、一部の軌道では将来的な衝突リスクの高まりが国際機関などから指摘されている。そのため、デブリを新たに発生させない技術と、既存デブリを回収する技術の開発が世界的な課題となっている。
今回の実証では、BULLの「HORN」が運用終了後の衛星に装着するドラッグセイル(抵抗膜)を軌道上で展開し、大気抵抗を利用して将来的に衛星の軌道離脱を促す技術の実証を行った。同社は7月3日、ドラッグセイルの展開や撮像など一連の軌道上実証に成功したと発表している。一方、静岡大学の「STARS-X」は、約1キロメートルのテザー(ひも状構造)を伸展させ、その上をロボットが移動しながら放出した模擬デブリをネットで捕獲する技術の実証を目指している。デブリの発生防止と将来的な回収技術の実現に向け、それぞれ異なるアプローチから研究開発が進められている。
宇宙利用の拡大に伴い、衛星コンステレーションをはじめとする新たな宇宙利用は今後も増加すると見込まれる。安全で持続可能な宇宙活動を実現するためには、衛星の設計段階から運用終了後までを見据えたデブリ対策が欠かせない。今回の技術実証が今後の実用化につながれば、日本の技術が国際的な宇宙環境保全に貢献する可能性もある。宇宙開発の発展と宇宙環境の保全を両立するための技術として、今後の成果が期待される。
画像提供:BULL/撮影:HEO(軌道上での撮像サービスを提供するHEO社の衛星により光学撮影された「HORN」のドラッグセイルの写真)

