
SNS投稿から日本初確認の寄生バチ発見、市民科学に期待 九州大
九州大学は2日、SNSに投稿された写真と動画をきっかけに、日本では未確認だった寄生バチを初めて発見したと発表した。また、このハチがカマキリの卵嚢に寄生することも世界で初めて確認した。身近な自然を観察する市民と研究者が協力することで、新たな発見につながる可能性を示した。この研究成果は国際学術誌に掲載された。
発見されたのは体長数ミリほどの小さな寄生バチ「Eupelmus curvator(ユーペルムス・カーバトール)」だ。これまで中国で1例しか報告されておらず、日本での確認は初めてとなる。寄生バチは他の昆虫に卵を産み付けて成長する昆虫で、害虫を抑える天敵として農業でも利用されている。しかし小型で見つけにくいため、生態や分布には未解明な点が多かった。
今回の発見のきっかけは、2021年に九州大学伊都キャンパスで撮影された動画だった。学生がチョウセンカマキリの卵嚢に小さなハチが産卵する様子をX(旧Twitter)へ投稿したところ、寄生バチの分類を専門とする研究者が注目。SNS上で情報提供を呼びかけた結果、神奈川県で撮影された同様のハチの記録が寄せられたほか、福岡市・能古島で採集された標本の提供があった。これらはいずれもEupelmus curvatorであることが判明した。
これらのハチは、日本では別々の地域で複数回にわたってカマキリの卵嚢に寄生することが確認された。中国ではキクイムシへの寄生のみ報告されており、地域による生態の違いなどの検証が求められる。
近年は高性能なスマートフォンやカメラの普及により、一般の人でも小さな昆虫を鮮明に撮影できるようになった。SNSには専門家が調査できない場所や時期の観察記録が日々投稿されており、国内外では新種の発見や生物の分布記録の更新につながった事例が報告されている。今回の成果は、都市部の公園や大学キャンパスのような身近な場所にも、まだ知られていない生物が数多く暮らしていることを示している。今後は、市民と研究者が連携する「市民科学」が、生物多様性の解明を進める重要な手法になることが期待される。

画像提供:九州大学(冒頭の写真はイメージ)


