40光年先に7つの地球サイズ惑星を発見 その環境は?

40光年先に7つの地球サイズ惑星を発見 その環境は?

米航空宇宙局(NASA)は23日、赤外線天文衛星「スピッツァー」を使った観測で、地球からわずか40光年の距離にある1つの恒星の周りに、7つの地球サイズの惑星があることを発見したと発表した。これらの惑星のうち、内側から4番目、5番目、6番目の3つは「ハビタブル・ゾーン」という、恒星が放射する熱によって、惑星表面で液体の水を維持できる可能性のある領域に位置している。1つの恒星の周りに発見されたハビタブル・ゾーンにある太陽系外の惑星(系外惑星)としては最多の新記録となる。

6つは岩石質 水の有無は今後明らかに

スピッツァーは2016年の秋に恒星「トラピスト1」をほぼ500時間連続して観測し、恒星の前を惑星が通過する際のわずかな光量変化を調べた。このデータから、研究チームは7つの惑星の大きさを正確に割り出した。また内側の6つの惑星について質量や密度を推定したところ、これらの惑星はすべて岩石である可能性が高いことがわかった。さらなる観測で、これらの惑星表面に液体の水があるかどうかを明らかにできる可能性もある。最果ての7番目の系外惑星の質量はまだ推定されていないが、科学者たちは、凍って「雪に覆われたような」世界であると信じている。

ワシントンにあるNASAの科学ミッション本部のトーマス・ザーブチェン副長官は、「この発見は、生命に役立つ生存可能な環境や場所を見つけるパズルの重要なピースだ。『私たちは宇宙で孤独なのか』という問いに答えることは科学の最優先の課題であり、ハビタブル・ゾーンでこのように多くの惑星が発見されたことは、その目標を達成する目覚しい一歩だ」と語った。

7つの惑星の環境は、生命には過酷?

トラピスト1は超低温矮星わいせいに分類され、太陽に比べてわずか8%ほどしか質量がなく、表面温度も摂氏2300度程度しかない。そのため、太陽系の惑星に比べて、恒星の近くを周回する惑星上に液体の水が存在し得ることになり、7つの惑星はすべて、適切な大気条件の下で液体の水を持つ可能性がある。また、トラピスト1の惑星軌道は7つともすべて、太陽に対する水星の軌道よりも内側にある。惑星も相互に非常に近くにあるので、仮に人がこれらの惑星の1つに立って空を見上げれば、時には地球の空に浮かぶ月よりも大きく他の惑星が見え、地理的特徴や雲を見ることができるだろう。

しかし、惑星が恒星に近いということは、それだけ恒星から噴き出す「恒星風」と呼ばれる強い放射線にさらされることを意味する。また、惑星同士が近くにあるということは、相互に及ぼす重力で内部が変形し、木星のガリレオ衛星のように激しい火山活動を引き起こしている可能性がある。さらに、月がいつも地球に同じ面を向けているように、これらの惑星も常に同じ面を恒星に向けている可能性が高く、その場合は高温の昼と極寒の夜が永続する。惑星表面に大気があった場合、昼の面から夜の面に強い風が吹き、極端な気温変化など、地球とはまったく異なる気象パターンを持つ可能性がある。

スピッツァーは今秋、これらの惑星の理解を深めるために追加の観測を行い、そして2018年以降に打ち上げられるジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が後を引き継ぐ予定だ。JWSTは感度が非常に高いため、水やメタン、酸素、オゾンなど惑星の大気を構成する成分の兆候を検出し、惑星の気温や気圧なども分析するという。

画像提供:NASA

 
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