猛暑から命を守る避難場所「クーリングシェルター」【ニュースのコトバ解説】

6月24日、気象庁は7月から9月までの3カ月予報を発表した。気温の高い状態は9月まで続く見込みで、全国的に猛暑が長引く予想。今年も全国的に暑さの厳しい夏となりそうだ。

夏の熱中症による搬送者数が増える中、政府は気候変動適応の一分野である熱中症対策を強化するため、気候変動適応法を2024年4月に改正し、2025年4月に全面施行した。これにより新たに指定されたのが、指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)だ。

「クーリングシェルター」とは?

クーリングシェルターは、改正熱中症対策推進法に基づいて市町村長が指定する施設のことだ。熱中症特別警戒アラートが発表された際などに、暑さをしのぐために一般に開放される、冷房設備が整った施設のことを指す。具体的には公民館や図書館、コミュニティセンターといった公共施設のほか、商業施設などが候補となる。

クーリングシェルターは冷房設備が完備されており、暑さを一時的に避け、熱中症を防ぐための避難場所として利用できる。なお、クーリングシェルター指定された施設には原則として開放期間中、誰でも無料で利用できることが義務付けられている。

命の危険があるほどの暑さから一時的に避難し、涼しさと安全を確保するための施設であり、幅広い世代にその認知と活用が求められている。

クーリングシェルターの利用方法

クーリングシェルターの利用方法は非常にシンプルだ。指定された施設にはクーリングシェルターであることを示すマーク表示がされているため、それが目印となる。

クーリングシェルターマーク(左)とロゴマーク(右)

 

多くの場合、利用の際に事前予約は不要で、施設の開館時間中であれば誰でも自由に利用することができる。施設内では、涼しい環境で休憩を取るだけでなく、水分補給ができる場所が提供されることも多い。

クーリングシェルターを賢く利用するために

クーリングシェルターの利用を検討する際には、居住地または訪問先の自治体のウェブサイト等で、指定施設の一覧や開放期間、利用時間などを事前に確認することが推奨される。これらの準備によって、いざという時にスムーズに利用できるようになるためだ。

例えば、東京都では都の防災マップ上で冷房設備が整った避暑シェルターの位置情報を6月20日付けで公開した。スマートフォンで位置や住所、開館時間帯などが調べられる。

環境省の熱中症予防情報サイトによると、クーリングシェルターを指定済みの自治体は972市区町村、またクーリングシェルター又はいわゆる暑さをしのぐ施設を指定済みの自治体は1054市区町村(共に6月10日現在)あるという。

 

【クーリングシェルターを指定している市区町村ウェブサイトへのリンク集】

https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_shelter.php

※情報は随時更新されるため、詳細は各自治体ホームページの確認を。

 

クーリングシェルターは熱中症から身を守るための有効な手段の一つだ。制度を理解し、いざという時に活用することで、自身の健康だけでなく身近な人々の安全を守ることにも繋がるだろう。この夏の暑さを乗り切るため、賢くクーリングシェルターを活用してほしい。

(写真はイメージ)