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見たものが慣れ親しいか否かを判断する脳の仕組みを発見

「見たことのない目新しい」ものとは何か? 脳の仕組みを発見

順天堂大学と東京大学の共同研究チームは18日、見たものが慣れ親しいか否かを判断する脳の仕組みを発見したと発表。人が目にしたものが、慣れ親しいものか、目新しいものかを判断するのに、脳の側頭葉にある神経細胞の出力信号がある閾値を超えるか否かが関係していることを、サルを使った実験によって明らかにした。これにより、脳機能疾患に対する新しい治療法の開発が期待される。

周りの人や物を見るとき、見た人の脳の中ではそれが「見たことのある慣れ親しい」対象か、もしくは「見たことのない目新しい」対象かどうかを判断している。これまでの研究から、脳の側頭葉にある嗅周野という領域の神経細胞がこの判断の役割を担っていることは知られていたが、それがどのように人の判断に寄与しているかは分かっていなかった。研究チームは、サルを使って実験し、脳の神経細胞の活動と行動との因果関係を調べた。

まず、脳の情報処理を調べる実験を行なった。サルに20~30個の物体の画像を繰り返し見せた後、それを見たことがあるか否かをサルに判断させた。これらを行う際に脳の神経活動を記録することで、判断時に側頭葉にある嗅周野の神経細胞が活動していることを同定した。

次に、脳の神経回路の役割を調査した。まず、光に反応して脳の神経の活動を活性化させる性質を持つタンパク質の遺伝子を、ウイルスを介してサルの嗅周野の神経細胞に導入。レーザーの光を光ファイバーで直接嗅周野に当てると、光が当たった神経細胞から出力される信号が増加する。これを利用してサルの嗅周野に選択的に光刺激を与えると、サルは見たことがあるものを見ても、見たことがないものを見ても、「見たことがある」と答えるようになったという。これにより、「見たことがある」という判断には嗅周野の神経細胞の出力信号が寄与していることが分かった。

また、刺激の効果と、見たものを記憶している細胞群、記憶していない細胞郡との関係も調べた。与えた刺激は光刺激と電気刺激の2種類で、電気刺激では、神経細胞からの出力信号を抑えるなどの働きを持つ細胞も含めて活発化する。その結果、光刺激ではどちらの細胞群を刺激しても、サルは「見たことがある」と答えた。一方で、電気刺激では、見たものを記憶している細胞群を刺激した場合は「見たことがある」という答えが増えたが、記憶していない細胞群を刺激した場合には「見たことがない」という答えが増えた。このことから、「見たことがない」という判断には嗅周野の出力信号を抑える役割の細胞が関与していることが分かった。

これらの結果から、人が目にしたものが「見たことのある慣れ親しい」ものであるという判断が生じるのは、脳の嗅周野にある神経細胞から出力される信号の強度がある閾値を超えた場合であり、この一定値を超えない場合は「見たことのない目新しい」ものと判断していることが明らかになった。

画像提供:順天堂大学
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