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H- IIAロケット40号機、「いぶき2号」と「ハリーファサット」の打上げに成功

H- IIAロケット40号機、「いぶき2号」と「ハリーファサット」の打上げに成功

三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、種子島宇宙センターから29日午後1時08分00秒に、温室効果ガス観測技術衛星2号「いぶき2号」(GOSAT-2)と、リモートセンシング観測衛星「ハリーファサット(KhalifaSat)」を搭載したH-IIAロケット40号機を打ち上げた。打上げから約16分09秒後に「いぶき2号」を、約24分15秒後に「ハリーファサット」を計画どおり分離した。

JAXAと環境省、国立環境研究所の3機関で開発した「いぶき2号」は、2009年から温室効果ガスである二酸化炭素とメタンの観測を開始した「いぶき」のミッションを引き継ぐ。以前は、観測可能な地域が限定され、観測データの集計方法や精度が各国で異なっていたため、データを比較する時に正確性や統一性が得られなかったが、「いぶき」によって世界中の二酸化炭素とメタンの濃度を正確かつ均一に観測できるようになった。「いぶき2号」は、より高性能な観測センサを搭載しており、さらなる温室効果ガスの観測精度向上を目指している。また、「いぶき2号」では「いぶき」が観測していなかった一酸化炭素も新たに観測対象としている。二酸化炭素は、工業活動や燃料消費等の人間活動だけでなく、森林や生物の活動によっても排出される。一方、一酸化炭素は、人間の活動から排出されるものの、森林や生物活動からは排出されない。そこで二酸化炭素と一酸化炭素を組み合わせて観測することで「人為起源」の二酸化炭素の排出量の推定を目指す。さらに、「いぶき2号」ではPM2.5の濃度の推計に必要なデータも観測できるので、PM2.5のモニタリングにも役立てていくという。これらの観測データは環境行政に提供され、地球温暖化の防止に向けた国際的な取り組みにも活用される見込み。

「ハリーファサット」はアラブ首長国連邦(UAE)初の国産衛星で、2006年に設立されたドバイの政府宇宙機関であるモハメド・ビン・ラシッド宇宙センター(MBRSC)が所有し運営する、第3の観測衛星。MBRSCのハマド・アル・マンスーリ総裁は、「わが国初の国産衛星であるハリーファサットは、わが国を宇宙科学技術の地域的・国際的な拠点に転換させるという指導者の意志に基づくもの」と述べた。

画像提供:JAXA