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新日鉄住金、営業秘密の不正使用をめぐる訴訟でポスコと和解

新日鉄住金は、9月30日、不正競争防止法違反(営業秘密の不正使用等)などを理由に、韓国の鉄鋼メーカーポスコとそのグループ会社との間で日本、アメリカ及び韓国の3カ国に渡り争っていた3件の民事訴訟について、ポスコ側が300億円を新日鉄住金に支払うことなどを条件に、全ての訴えを取り下げることで和解に達したと発表した。

新日鉄住金が不正使用されたと訴えていた営業秘密は、変圧器などに利用される「方向性電磁鋼板」の製造技術。新日鉄住金は、1980年代後半から、同社を退職した技術者がポスコにこの技術を持ち込んだとしている。ポスコから中国の鉄鋼メーカーに同じ技術を売却したとして韓国で逮捕されたポスコの社員が、2008年に行われた韓国での裁判で、「売却したのはポスコが不正に入手した新日鉄の技術情報である。」と主張したことから急激に証拠収集が進み、提訴に踏み切り、2012年4月19日に東京地裁で986億円の損害賠償及び製造、販売等の差止め等を求めて提訴し、同月24日にはアメリカでも提訴した。ポスコ側が同年7月19日、韓国の裁判所に新日鉄住金が東京地裁に提訴した内容を争う訴訟を起こしたため、以来3カ国で3つの訴訟が継続していた。

これらの訴訟は、本年7月3日に成立した不正競争防止法改正案の内容が検討された、経産省下の「営業秘密の保護・活用に関する小委員会」においても、日本から海外への営業秘密の流出事例として、新日鉄住金の知的財産部長がプレゼンテーションして法改正の重要性を訴えるなど、政府・経産省からも注目されていた。

(写真はイメージ)