慢性的な睡眠不足で体重増加の恐れ 睡眠中の「脳の掃除」にも影響か

「少しくらい睡眠を削っても大丈夫」と考えがちだが、睡眠不足は体重にも影響する可能性がある。米コロンビア大学アーヴィング医療センターなどの研究チームが7月7日、医学誌「Annals of Internal Medicine」に発表した研究では、2件のランダム化比較試験に参加した95人を解析した。参加者は十分な睡眠を取る期間と、睡眠を毎晩平均78.4分短くする期間をそれぞれ6週間過ごした。その結果、睡眠を制限した期間には、十分な睡眠を取った期間に比べて体重が平均0.45キロ増加し、腹囲も0.52センチ増えた。

ここで注目すべきは、参加者が極端な徹夜をしたわけではないということだ。睡眠時間を毎晩平均1時間と少し短くする生活を6週間続けただけでも、体重と腹囲に変化が現れた。一方、MRIによる測定では、体組成に明確な変化は確認されなかった。また、睡眠制限によって座って過ごす時間が1日平均17.2分増えていた。研究期間が6週間と短いことなどから、睡眠不足によって脂肪が増えたとまでは言えないが、慢性的な睡眠不足が体重増加につながる可能性を、ランダム化比較試験で示した点は重要だ。

そして睡眠の役割は、体重管理だけではない。米国のApplied Cognition Inc.、ワシントン大学医学部、C2N Diagnostics、スタンフォード大学医学部などの研究者が参加した研究が1月27日、科学誌「Nature Communications」に発表された。39人を対象に通常の睡眠と一晩の睡眠不足を比較したところ、睡眠中に、脳内の不要な物質を外へ運び出す働きに関わる生理的な変化が起きており、こうした変化が翌朝の血液中のAβ(アミロイドベータ)やタウの濃度と関連していた。研究チームは、睡眠中にAβやタウが脳から血液へ運び出される仕組みが働いている可能性を示している。この脳内の排出システムは「グリンパ系」と呼ばれている。

Aβやタウはアルツハイマー病との関連が知られている。ただし、この研究は脳からAβやタウが運び出される様子を直接観察したものではなく、生理的な指標と血液中の物質の変化から、その働きを推定したものだ。また、この研究だけで、睡眠不足によってAβやタウが脳内に蓄積し、アルツハイマー病を発症すると示されたわけでもない。それでも、睡眠中には脳内の不要な物質を処理する仕組みが働いている可能性がある。睡眠は、何もしない時間ではなく、脳と体が起きている間にはできない仕事をする時間なのかもしれない。

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