小惑星リュウグウの試料を解析、生命の起源に迫る 岡山大

岡山大学の中村栄三特任教授らの研究グループは、日本の小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから回収した黒色無光沢な試料を解析し、生命の起源に結びつく23種のアミノ酸やその他の有機物を検出した。さらに、太陽系形成前から現在に至る複雑な物理化学過程の証拠を保持していることがわかった。この成果は日本学士院紀要に6月10日付で掲載された。

リュウグウは、初代「はやぶさ」が試料を回収した小惑星イトカワより始原的であり、有機物や水を豊富に含むと考えられてきた。はやぶさ2は、リュウグウの表層物質を二地点から採取し、総量約5.4gの試料を地球に持ち帰った。今回、このリュウグウ試料のうち16粒子(総量55mg)を解析したが、2012年に解析したイトカワ試料総量の約3万倍という試料の量をいかして、イトカワ試料では困難であった小惑星の起源、天体の構造およびその変遷に伴う物質進化に関わる物理化学的プロセスの理解を目指して研究が進められた。

その結果、リュウグウ試料から生命を構成するのに不可欠な、水素(主に含水鉱物相として存在)と炭素が含まれていることが確認され、アミノ酸や含窒素化合物など多くの有機物が検出された。検出された23種のアミノ酸は太陽系内に元々存在していたことになる。

また、隕石には太陽系円盤内で形成された高温形成物が普遍的に観察されるが、リュウグウ試料には高温形成物がほとんど含まれていなかった。このことから、リュウグウを構成する物質は低温な太陽系外縁部において集積し、現在に至るまで原始太陽系を構成した星間物質や太陽系前駆物質を含む始原的な特徴を保持していると考えられる。

そしてリュウグウ試料に含まれる炭酸塩鉱物が形成された条件を調べると、太陽系形成から約260万年後で、その時の温度は0~30℃だった。このような条件を達成するためには、太陽系形成直後に有機物およびケイ酸塩を含む氷に富むダストが集積した氷天体がリュウグウの前駆天体となったと考えるのが自然だという。

同グループでは、こうしてできた氷天体が太陽系外縁部から内部(地球近傍軌道)へと移動し、それに伴う太陽からの輻射熱の増加により氷が失われ、現在のリュウグウに至ったと考えている。アミノ酸を含む有機物が氷天体で形成進化した後、地球環境にもたらされたことで生命が誕生したのだろうか。今後の研究によって、生命の起源との関連がより詳細に明らかとなることが期待される。

リュウグウ粒子の外観

画像提供:岡山大学