
深海でも急速に分解する生分解性プラスチックを開発 東大など
東京大学、海洋研究開発機構、群馬大学などの研究グループは22日、深海でも分解が大幅に速まる生分解性プラスチックの開発に成功したと発表した。生分解性プラスチックは、微生物の働きにより、低分子の化合物にまで分解され、最終的には二酸化炭素と水となって自然界へと循環する性質を持つプラスチックのこと。プラスチック内に分解酵素をあらかじめ混ぜ込む技術で、岸壁では1か月以内、水深750メートル付近の深海でも5か月以内にほぼ完全に分解することを確認した。研究成果は国際学術誌『Nature』に掲載された。
世界では毎年約800万トンのプラスチックごみが海に流れ出るとされ、従来のプラスチックは何百年も分解されずに残る。近年開発された生分解性プラスチックでも深海では分解が遅く、微生物が少ない場所では数年かかる場合もあった。
研究グループは、生分解性プラスチックを熱で加工する際に、ごく微量の自然由来の分解酵素を混ぜ込んだ。これにより、微生物がほとんどいない深海の低温・高圧環境でも酵素が働き、分解速度が酵素なしの場合に比べて岸壁で5~50倍、深海で12~80倍速くなった。
さらにこのプラスチックは「生分解開始スイッチ機能」を持つ。乾燥した状態で製品として使っている間は分解せず、海に流出して摩耗や衝撃で砕け、内部の酵素に水が触れたときに初めて分解が始まる。使用中の耐久性を保ちつつ、ごみになった後だけ速やかに分解する仕組みだ。
海洋プラスチック汚染の最終到達点とされる深海でも有効な技術として、今後の実用化が期待される。

画像提供:東京大学(冒頭の画像は、酵素内包生分解性プラスチックの作製と深海における分解途中のフィルム)

