「2015年宇宙法」オバマ大統領が署名 宇宙資源の商業利用認める

米国のオバマ大統領は11月25日、米国の宇宙産業発展を目指す「2015年宇宙法」に署名した。同法は大きく「商業宇宙打上げ」「商業リモートセンシング」「宇宙商務局」「宇宙資源探査およびその利用」の4つのタイトルからなる。特に、4番目の「宇宙資源探査およびその利用」では、小惑星上で見つかった資源と宇宙空間での水や鉱物など非生物的資源について、所有、輸送、利用、販売することを認めている。

1967年に米国を含む多くの国が批准した「宇宙条約」の第2条では、「月その他の天体を含む宇宙空間は、主権の主張、使用若しくは占拠又はその他のいかなる手段によっても国家による取得の対象とはならない」としている。今回成立した米国の2015年宇宙法では、小惑星資源と宇宙資源の権利について「米国はこの法律の制定によって、いかなる天体に対する主権、国権、占有権、司法権を主張することや所有を主張することはない」と記している。つまり、宇宙資源を個人や法人が占有する分には、国家による占有ではないから宇宙条約に反しないという論法だ。

米航空宇宙局(NASA)では、2020年代に小惑星1個を無人探査機で捕獲して月軌道まで移動させ、有人探査を行う「アステロイド・リダイレクト・ミッション(ARM)」計画も進んでいる。技術的には、民間でも同様な計画を進めることは可能だろう。1862年にリンカーン大統領が署名した「ホームステッド法」によって西部開拓が進んだのと同様に、2015年宇宙法によって宇宙開拓が加速するかもしれない。

画像提供:NASA