自然界の「第5の力」による現象、発見か

昨年、ハンガリーの研究チームがダークマター(暗黒物質)の研究中に見つけた異常な放射性崩壊の現象は、まだ知られていない自然界の「第5の力」で説明できるかもしれない。米カリフォルニア大学アーバイン校の理論物理学者ジョナサン・フェン教授らのグループが、アメリカ物理学会の速報誌「フィジカルレビュー・レターズ」で11日に発表した。

これまで、自然界には4つの基本的な力の存在が知られてきた。天体間にも働く「重力」、生活でなじみ深い「電磁力」、原子核のベータ崩壊などを引き起こす「弱い力」、原子核を結合している「強い力(核力)」の4つだ。これらの力を媒介するのが「ゲージ粒子」と呼ばれている。

昨年、ハンガリー科学アカデミーのアッティラ・クラスナホルカイ博士らが、欧州合同原子核研究機構(CERN)大型ハドロン衝突型加速器(LHC)のアトラス実験で、ダークマターに作用するゲージ粒子「ダークフォトン」を探していて異常な放射性崩壊を見つけた。リチウムに陽子を当ててできた不安定なベリリウムは、陽子と陽電子のペアを放出する。この実験のとき、陽子を140度の角度でリチウムに当てると、予想よりも多く放出されたことが分かった。彼らは、質量17.6 MeVの「新しい粒子」が生成されたためと考えた。

フェン教授らは、「彼らが見つけたのはダークフォトンではなく、原子核の数倍程度の距離でのみ作用するゲージ粒子で、これまで知られていなかった第5の力を媒介する『プロトフォビックXボゾン』である」と説明した。

これまで電磁力と弱い力は理論的に統一されているが、強い力まで加えた理論は完成していない。この第5の力によって、統一への新たな道が開けるかもしれない。

画像提供:アメリカ物理学会

 
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