骨への刺激が、脳の損傷後の回復を助ける仕組みを発見

脳が傷ついたとき、回復を助ける仕組みは脳の中だけにあるわけではないようだ。中国・南方医科大学などの研究チームは、脚の骨への刺激によって脳の損傷後の回復が促される仕組みをマウスとブタで明らかにした。研究成果は9月21日、『Nature Neuroscience』に発表された。

研究のきっかけは、頭部に大きなけがをした人で、骨折が通常より速く治ったり、本来は骨ではない場所に骨ができたりすることが知られていたことだ。研究チームは、脳の損傷が骨にも影響を与えるだけでなく、骨から脳の回復を助ける働きもあるのではないかと考えた。

脳卒中や頭部外傷を起こしたマウスのすねの骨に、機械で1秒間に2回、計300回の刺激を加える処置を、週5回行ったところ、運動や記憶などの機能の回復が促された。実験では、歩行や通常の運動ではなく、機械で一定の力を繰り返し加えた。頭部にけがをしたブタでも同様の効果が確認された。

なぜ骨への刺激が脳に影響するのだろうか。骨には「骨細胞」という、骨に加わる力を感じ取る細胞がある。研究では、骨細胞が刺激を受けると、血液を通じて脳に届く物質を放出し、神経細胞を守ったり、損傷後の過剰な炎症を抑えたりすることが分かった。研究チームは、こうした骨と脳のつながりを「骨―脳軸」と呼んでいる。

今回の研究は、脳の回復を助ける仕組みが、脳とは離れた場所にもあることを示した。ただし、確認されたのはマウスとブタでの結果で、人間でも同じ効果が得られるかは分かっていない。

(写真はイメージ)