「もんじゅ」廃炉を決定 高速炉研究開発における新たな役割へ

「もんじゅ」廃炉を決定 高速炉研究開発における新たな役割へ

政府は21日午後、第6回原子力関係閣僚会議で高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃炉を政府方針として決定した。今年9月21日の第5回会議で「廃炉を含め抜本的な見直しを行うこと」とされていた。

累計運転期間、わずか250日

これまで日本では、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、使用済核燃料を再処理して回収されたプルトニウム等を有効利用する「高速増殖炉」の研究を進めてきた。「もんじゅ」は、高速実験炉「常陽」(茨城県)での成果も踏まえ、発電プラントの実証とナトリウム取り扱い技術の確立を目的に進められ、40%の出力運転まで行われた。しかし、1995年12 月に発生したナトリウム漏えい事故、さらに同事故における通報の遅れや虚偽報告・情報隠し等の不適切な対応により社会的な信頼を失い、その後、長期間にわたり停止する状況となっていた。累計運転期間は約250日にとどまった。

東日本大震災による福島第一原子力発電所事故後、2012年9月に原子力規制委員会が発足。同年11 月に「もんじゅ」で約9000 点の機器において点検の不備が確認された。2015年11月には規制委員会から「日本原子力研究開発機構(原子力機構)に代わってもんじゅの出力運転を安全に行う能力を持つと認められる者を具体的に特定すること」、「特定することが困難であるのならば、もんじゅが持つ安全上のリスクを明確に減少させるよう、在り方を抜本的に見直すこと」との勧告が出された。文部科学省において検討が進められてきたが、特定するには至らなかった。

再開による効果、コストを上回れず

また、「もんじゅ」は大出力の発電炉であることから、規制委員会が策定した新規制基準に沿って、商用軽水炉と同水準の基準を満たすことが求められた。今後、規制の見直しの可能性もあり、新規制基準の見直しから安全審査までに要する期間、見直し後の新規制基準の要求内容も考慮に入れると、「もんじゅ」の運転再開までに最低でも約8年間の準備期間が必要と考えられる。その後8年間運転した場合、5400 億円以上の経費が必要とされる。さらに、ナトリウム炉に対する審査の内容によっては、追加の対応が必要になる可能性もあり、不確定要素が極めて大きい。運転再開で得られる知見は、今後の実証炉の開発コストの低減に貢献すると期待されるものの、運転再開の経費・期間増や追加的な対応の不確定要素により、運転再開により得られる効果が運転再開の経費を確実に上回るとは言えない状況となっている。

一方、「もんじゅ」が運転を停止している間も国際的な高速炉研究は進められてきた。2014年には日仏高速炉開発協力の取り決めが交わされ、国際協力も活用して高速炉に関する最先端技術開発の知見を獲得することの重要性が増している。

廃止措置へ移行

このような状況から、「もんじゅ」ではさまざまな不確実性が伴う運転再開はせず、今後、廃止措置に移行することとなった。安全かつ着実に進めるため、(1)政府一体となった指導・監督、(2)第三者による技術的評価等を受け、(3)国内外の英知を結集した体制を整えた上で、原子力機構が安全かつ着実に廃止措置を実施することで、「もんじゅ」が持つ安全上のリスクの減少の早期達成に向けて取り組む。

現時点で想定される廃止措置工程は、使用済燃料の取り出しまでに約5年半、その後所要の準備期間を経た後、施設の廃止措置を行うことが見込まれる。今後、さまざまな状況の変化に応じ、原子力機構において、工程の見直しを含め適切に対応する。政府も廃止措置が着実かつ安全に実施されるよう、適切な予算措置や必要な枠組みの整備などを実施する。

新たな役割へ

「もんじゅ」は今後、廃止措置の手続きに入るが、あわせて今後の高速炉研究開発における新たな役割を担う。「もんじゅ」を含む周辺地域を、日本の高速炉研究開発の中核的拠点の1つとして位置付け、高速炉の実用化に向けた技術開発等を実施する。将来的には「もんじゅ」サイトを活用し、新たな試験研究炉を設置することで、「もんじゅ」周辺地域や国内外の原子力関係機関・大学等の協力も得ながら、日本の今後の原子力研究や人材育成を支える基盤となる中核的拠点となるよう位置付けるとしている。

(冒頭の写真:もんじゅ)

 
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