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山形蔵王で樹氷ライトアップ 奇跡的な地理条件で生まれた美の巨人 

山形蔵王で樹氷ライトアップ 奇跡的な地理条件で生まれた美の巨人 

山形・蔵王では、ライトアップされた樹氷を間近で見ることができる「樹氷幻想回廊ツアー」を、3月5日まで開催している。2月初旬、このツアーに参加した。山形蔵王駅から夜8時のロープウェイに乗り、樹氷氷原駅へ。ここから雪上車「ナイトクルーザー号」に乗り換えて左右に巨大な樹氷群を眺めながら、途中下車して間近で鑑賞する。

山形蔵王で樹氷ライトアップ 奇跡的な地理条件で生まれた美の巨人 
雪上車「ナイトクルーザー号」に乗り換える

蔵王の樹氷は、針葉樹のアオモリトドマツが雪と氷に覆われることで造られる。自然が生み出す神秘的な芸術作品だ。

樹氷ができるまでの過程には、さまざまな条件が絶妙に重なっている。日本海の対馬暖流の水蒸気が、シベリアからの北西の季節風を受けて雪雲となり、山形県と新潟県の県境にある朝日連峰で上昇、多量の雪を降らせる。雪雲は山形盆地を通って、再び蔵王連峰で上昇し、また雪を降らせる。雲の中では、雲を構成する水滴や氷結晶(氷晶)である雲粒うんりゅうが0度以下でも凍らない過冷却水滴になっており、雪とまじりあった状態になる。

蔵王の1〜2月頃の天候は快晴の日が少なく、風向きは北西から西を示し、平均風速は毎秒10〜15m、平均気温マイナス10〜15度の吹雪の世界となる。雪雲の中で過冷却状態になっている雲粒が、枝や葉にぶつかって凍りつくと扇形の氷「エビのシッポ」ができ、そのすき間に多くの雪片がとり込まれ、これらが固まっていく。この一連の現象が繰り返されることで巨大な樹氷が生まれる。

山形蔵王で樹氷ライトアップ 奇跡的な地理条件で生まれた美の巨人
群れをなして、行進をしているかのようにも見える美の巨人たち

絶妙な気象条件と地形的な条件が重なり、奇跡的に生まれた幻想的な美の巨人たち。間近で触れ合うと圧巻だ。蔵王で「スノーモンスター」の愛称で呼ばれる巨大な樹氷からは、今にも歩いてこちらに向かって来そうな気配を感じる(冒頭の写真)。厳寒の中、猛吹雪に合いながらも沈黙を守りたたずんでいる姿は、我々に何かを語っているかのようだ。

樹氷ライトアップ 蔵王ロープウェイ:http://zaoropeway.co.jp/zao/winter/lightup.html

 
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