カルシウム味は第6の味なのか?

カルシウム味は第6の味? 米研究チームが明らかに

米カリフォルニア大学サンタバーバラ校などの研究チームが、第6の味としてカルシウムイオンに反応する味覚、つまり「カルシウム味」の存在について報告した。遺伝子操作したショウジョウバエを使った実験で明らかにした。研究成果は3日付の米科学誌『ニューロン』に掲載された。

 

5つの基本味 甘味、苦味、塩味、酸味、うま味

私たちが舌で感じる味覚は、甘味、苦味、塩味、酸味、うま味の5つに区別している。このうち、甘味、苦味、塩味、酸味の4つは古くから認識されてきたが、うま味は1907年に日本の池田菊苗教授が約38kgの昆布からうま味の素であるグルタミン酸ナトリウム(商品名:味の素)を発見したのが最初だ。

その後も、1913年に鰹節からイノシン酸、1957年にはシイタケからグアニル酸を新たなうま味成分として発見したが、欧米の学者には懐疑的に受け止められ、第5の味の存在について長く学会で議論されてきた。しかし、2000年に舌の感覚細胞にグルタミン酸の受容体が見つかり、今ではうま味を含めた5つが基本味とされている。

 

「カルシウム味」は死を避けるための味覚

昆虫も味に対する反応は哺乳類と似ており、甘味や低濃度の塩味を好み、高濃度の塩味や苦味を嫌う。研究チームがショウジョウバエのカルシウムイオンへの反応を調べたところ、高濃度のカルシウムイオンを含む餌を嫌った。この行動は2つのメカニズムからなり、1つはカルシウムイオンを高濃度に含む餌の摂食を抑制する味覚受容体が活性化したこと。もう1つは、通常は摂食を刺激する砂糖に対して活性化する味覚受容体を阻害しているということが分かった。

通常のショウジョウバエは高濃度のカルシウムイオンを含む餌を食べないが、遺伝子操作したショウジョウバエはこれを食べ、健康を害して多くは死んでしまった。このことから、ショウジョウバエは「カルシウム味」という新たな味覚を持っており、ミネラルの過剰摂取による害を避けるために必要な味覚だと結論している。

(写真はイメージ)