WWF、南西諸島の固有種ペット取引に警告 絶滅危惧種も

WWF、南西諸島の固有種ペット取引に警告 絶滅危惧種も

世界自然保護基金(WWF)ジャパンは23日、世界自然遺産の候補地である南西諸島における両生類・爬虫類の取引調査の結果を報告書にまとめ発表した。調査で対象にした67種・亜種のうち37種が、国内および海外市場で活発に取引されていることがわかった。

南西諸島は奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島いりおもてじまを含み、多くの固有な野生の動植物、特に両生類・爬虫類の固有種が多いことが知られている。2017年12月に更新された国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは、新たに評価対象となった日本固有爬虫類の46種のうち、その3分の1が絶滅危惧種に指定されたが、中には南西諸島に生息する種も多く含まれている。

WWFの野生生物取引監視部門は、2017年1月から2018年1月にかけて南西諸島固有の両生類・爬虫類67種・亜種を対象に、オンライン市場でのペット取引の市場調査を実施。合わせて地元関係者や地域住民のヒアリング調査を実施した。

その結果、調査対象の55%にあたる37種が国内または海外市場で活発に取引されていた。その中には環境省のレッドリストで特に絶滅の恐れが高い絶滅危惧IA類(CR)に指定されている、ミヤコカナヘビやクメトカゲモドキなども含まれていた。37種のうちワシントン条約や種の保存法、地方自治体の条例などにより何らかの捕獲・取引規制がある種も15種あった。法令で保護されているにもかかわらず、多くが合法性の曖昧な状態で取引されている現状を改善するため、より強い規制措置を検討すべきであるとWWFは提言している。

南西諸島の世界自然遺産登録が延期された理由の一つとして、保全政策の不十分さが指摘されている。引き続き登録を進めるためには、固有種に関する捕獲・取引規制の整備・施行が必要であると考えられる。

(冒頭の写真は奄美大島)
 

参考記事
IUCNレッドリスト更新を発表 野生の作物種に絶滅危惧(2017/12/10)