日本の酷暑を宇宙から観測 衛星「しきさい」の画像公開

日本の酷暑を宇宙から観測 衛星「しきさい」の画像公開

日本各地で過去最高気温が更新される中、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1日、気候変動観測衛星「しきさい」が午前10時40分頃に日本の酷暑の様子をとらえた画像を公開した。冒頭の画像を見ると、温度が高いほど濃い赤で示されており、白色の領域は雲域を示している。

昼前にも関わらず、都市部を中心に地表面の温度が上昇していることが見てとれる。地表面温度の分布を植生分布と比較すると、東京や名古屋、京都、大阪などの大都市で非常に温度が高くなっているのに対し、森林域では比較的温度が高くなっていないことがわかる。

2017年12月に打ち上げられた「しきさい」は、近紫外から熱赤外まで19の波長帯で観測できる。この中の熱赤外の波長帯である波長10.8µmでの観測により、地表面の熱の状態がわかる。可視光の波長帯は太陽光の反射がほとんどであるため昼間しか観測できないが、熱赤外の波長帯は地球からの輻射ふくしゃ(熱放出)を見ているため夜間でも観測できる。また、これまでの地球観測衛星の熱赤外観測に比べると、「しきさい」は250mという高い空間分解能(見分けることができる二点間の最小距離が250mという意味)で、高頻度の観測を行えることも大きな特徴だ。

高い空間分解能を生かして都市部を拡大すると、この日は特に熊谷や京都で地表面温度が50度以上と非常に高温となっていたことや、皇居や代々木公園、名古屋城などが周囲に比べて少し温度が低い様子も見ることができた。

日本の酷暑を宇宙から観測 衛星「しきさい」の画像公開
東京周辺の日中地表面温度

画像提供:JAXA