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はやぶさ2搭載ローバのリュウグウ着陸と、こうのとり7号機の打ち上げ成功

はやぶさ2搭載ローバのリュウグウ着陸と、こうのとり7号機の打ち上げ成功

この週末、宇宙では大きなニュースが続いた。宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は、小惑星探査機「はやぶさ2」から搭載ローバ(移動探査ロボット)のミネルバII1を日本時間21日午後1時6分に分離し、写真撮影、小惑星リュウグウへの着地、ホップによる移動に成功したことを、22日に発表した。また、23日2時52分27秒には、宇宙ステーション補給機「こうのとり」7号機(HTV7)を搭載したH-IIBロケット7号機を、種子島宇宙センターから打ち上げ、その約14分59秒後に「こうのとり」7号機を正常に分離したと発表した。
 

リュウグウが成し遂げた2つの「世界初」

ミネルバII1はローバ-1Aとローバ-1Bの2機からなり、どちらもリュウグウ表面への着地に成功したことが確認された。各ローバとも状態は正常で、撮影した写真や各種データの送信を始め、リュウグウ表面での探査を開始している。これによりミネルバII1は、小惑星表面に降りた世界初のローバとなった。また、小惑星の表面で自律的に移動したこと、写真を撮影したことも世界初で、さらに2機同時に動作させるという快挙となった。

はやぶさ2のプロジェクトマネージャである津田雄一准教授は、「小天体上の表面移動という新たな宇宙探査の手段を手に入れたこと、その技術の実現に『はやぶさ2』が貢献できたことを誇りに思います」とコメントした。

はやぶさ2搭載ローバのリュウグウ着陸と、こうのとり7号機の打ち上げ成功
日本時間21日午後1時7分頃にローバ-1Bが撮影した写真。探査機から分離直後に撮影されたもの。右下にリュウグウ表面が映っている。左上の薄くモヤがかかっている部分は撮影時の太陽光の写り込みによるもの。

ミネルバは、車輪型ではなくホップしながら微小重力の天体表面を移動するローバとして、元は2003年に打ち上げられた「はやぶさ」のオプション扱いのミッションとして開発された。2005年に小惑星イトカワへ投下された際には着地できず、宇宙の彼方へと飛び去ってしまった経緯があった。今回の「はやぶさ2」にはミネルバの後継機であるミネルバIIとして、2機構成のミネルバII1と、ミネルバII2の3機が搭載されている。はやぶさ2のミッションマネージャである吉川真准教授は、「13年前の『はやぶさ』のときに達成することができなかった小惑星表面での小型ローバの移動探査が成功して感無量という感じです」とコメントしている。
 

打ち上げ成功した「こうのとり」、ISSへ物資を輸送

一方、宇宙ステーション補給機「こうのとり」は、国際宇宙ステーション(ISS)に補給物資を運ぶために日本が開発した無人の宇宙船。現在、ISSへの物資補給能力を持っているのは日米露の3国のみ。その中で「こうのとり」は世界最大の補給能力があり、「こうのとり」7号機では合計で約6.2トン(船内物資約4.3トン、船外物資約1.9トン)をISSに運ぶ。

今回、補給物資輸送のミッションに加えて、日本が今まで持っていなかったISSからの物資回収技術の実証実験も実施する。「こうのとり」7号機がISSを離れて大気圏への再突入軌道投入後、地上からのコマンドで実験試料を搭載した小型回収カプセルを分離させて再突入させ、パラシュート降下した後、洋上で回収する。窒素ガスを噴射して姿勢を制御する機能を持ち、揚力誘導飛行で再突入時の加速度の緩和を行う再突入体としては世界最小レベルだという。搭載可能な実験試料の質量は約20キログラム、内部容量は約30リットル。カプセルから取り出した実験試料は南鳥島で航空機に積み替え、速やかに本土に輸送する計画だ。

宇宙空間から続けて届く喜ばしいニュース。今後の動きから目が離せない。

画像提供:JAXA(冒頭の写真は「こうのとり」7号機機体公開の様子)