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市民ボランティアの調査で高山植物への地球温暖化の影響を予測 北海道大学

高山植物の開花期間に地球温暖化が影響 北大が市民ボランティアと共同で調査

将来、地球温暖化により高山植物群落の開花期間が短縮されるという予測が、北海道大学市民ボランティアが行った高山植物の長期開花調査で出された。高山植物の開花時期が地球温暖化の影響に左右されるという実態調査と将来予測はこれが始めて。

これは北海道大学地球環境科学院の工藤岳准教授が、市民ボランティアと共同で2010年から実施してきた高山植物の開花調査によるもの。これまでの9年間のデータを解析し、気候変動に対して高山植物群落の開花時期がどのように変化するのかを予測した。その結果、積雪の少ない場所に生える高山植物は気温の影響を強く受け、一度の気温上昇により開花期間が約4日短縮されるとの予測が出された。また、雪解けの遅い場所に生息する植物は、気温よりも雪解け時期の影響を強く受けることが分かった。温暖化によって一度の気温上昇と10日間の雪解け早期化が起こった場合、高山帯の開花時期は約5日間に短縮されるという予測が得られた。

これまで高山植物が地球温暖化の影響を強く受けることは予測されていたが、その実態と将来予測に必要なモニタリング例はごくわずかだった。今回の研究は、気温だけでなく積雪期間の変動によって高山帯の開花構造が改変されるメカニズムを解明するとともに、市民ボランティアによる生態系モニタリングの有効性を実証した、重要な成果となった。

同研究は環境省生物多様性センターが行っている生態系長期モニタリングプロジェクト「モニタリングサイト1000」の高山帯調査の一環で行われ、研究成果は8月2日公開のEnvironmental and Experiment Botany誌に掲載された。

(写真はイメージ)