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ダボス会議もビーガンに ビーガンではない記者が食べて思ったこと

1月に開催されたダボス会議。50回目を迎える今年は、ビーガン(完全菜食主義)料理がふるまわれた。料理を担当したのは、カナダ人のビーガン料理人ダグ・マクニッシュ氏。主要会場であるコングレスセンターにおけるメニューで史上初めて肉や魚を排除し、地産地消への関心の高まりを受けてバナナを禁止した。実際にコングレスセンターで配られていたものを記者が食べてみたが、豆腐・雑穀・野菜で作られたもので少し物足りない気がしつつも想像より満腹感があり、欧米を中心に広がっているビーガンが日本でも徐々に身近になっていく予感がした。
 

畜産業による温室効果ガス排出量は世界全体の約15%

ビーガンは「VEGAN」と表記し、肉や魚を食べないベジタリアンのうち、卵や乳製品、チーズ、ラードなど動物由来の食品を一切食べない完全菜食主義者を指す。今年のダボス会議は環境問題が主要テーマとなっており、ビーガンフードも気候変動への取り組みとして注目された。その理由は、家畜を放牧するために森林伐採が多く行われていることや、畜産業により排出されるメタンガスが世界全体の温室効果ガスの14.5%を占めていることにある。
 

世界中で増えるビーガン人口

ビーガンを志向する人は健康や宗教上の問題、動物愛護、環境保護などを理由に世界で増えており、英ビーガン協会によると、ビーガン人口は2018年、英国の総人口の1.16%に相当する60万人に上った。日本で昨年12月に、ビーガン向けサイトVegewelを運営するフレンバシー(東京都渋谷区)によって行われた「第2回日本のベジタリアン・ヴィーガン・フレキシタリアン人口調査」の結果では、ビーガン人口は2.1%で、2017年の1.0%から上昇している。また、食に制限がある人向けのサイトを運営するフレンバシー(東京都渋谷区)によると、2018年の訪日客3119万人のうち、ベジタリアンかビーガンは約5%にあたる約150万人、市場規模は468億円と推計される。
 

訪日外国人が増える中での日本の動き

現状日本は正式な認証マークもなく、対応店舗も少ない。しかしこの状況を受けて東京オリンピック・パラリンピックを半年後に控え、超党派の議員連盟「ベジタリアン議連(ベジ議連)」が昨年11月に発足した。外国人観光客からの需要を狙いビーガンメニューに対応する企業や飲食店が少しずつ増え、昨今では植物由来の代替肉市場への参入が見られている。海外ではビヨンド・ミート(Beyond Meat)やインポッシブル・フーズ(Impossible Foods)などの代替肉を開発し提供するスタートアップが話題だが、日本では食肉国内最大手の日本ハムが、肉を使わず大豆を主原料にしたハムやソーセージ風の商品を3月に発売するとしている。また、日本発の代替肉スタートアップDAIZ(熊本県熊本市)は1月29日、冷凍食品大手のニチレイフーズと資本業務提携を締結したことを発表した。

一方で、ホールフーズ・マーケットのCEOであるジョン・マッキー氏が、大豆などで作ったベジタリアン・ミート(ベジミート)はかなり加工された食品であることから、「環境にはいいけど体には悪い」と発言している。また、野菜中心の食生活は肉・魚に多く含まれるタンパク質、ビタミンB群、カルシウム、鉄分などが不足しがちになり筋力低下、肌荒れ、貧血、骨粗鬆症などを引き起こす可能性があるとも言われている。健康を考慮し、偏り過ぎないことも大事だ。


ダボス会議でふるまわれたビーガン料理

(冒頭の写真はイメージ)