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働き方が変わる? 「ワーケーション」は何をもたらすのか【ニュースのコトバ解説】

働き方が変わる? 「ワーケーション」は何をもたらすのか【ニュースのコトバ解説】

菅義偉官房長官が政府としてワーケーションなどの普及に取り組んでいくと発言し、話題になっているこの言葉。ワーケーションとは、米国で広がっている「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語です。リゾート地や地方など普段の職場とは異なる場所で、仕事と休暇を並行して行うもので、コロナ禍での新たな働き方として注目されています。SNSでは菅官房長官の発言を受けて「労働時間が増えかねない」など批判の声も上がっていますが、ワーケーションとはどんな働き方で、どんな効果があるのでしょうか。

ワーケーションに似た「テレワーク」も職場とは異なる場所で働きますが、ワークライフバランスの実現やオフィスコストの削減などを目的とする一方、ワーケーションは休暇を取りやすくすることやリフレッシュを図ることが主な目的です。休暇を取りやすくなり、その時間で副業やボランティアも可能になるなど働き方の多様化が進むことが期待されます。また企業にとっても、法律で年間5日の有給休暇の取得が義務付けられている中で休暇取得を促進することができ、自由度の高い働き方の実現が企業の魅力向上に繋がるなどのメリットがあります。さらに地域観光、ICTなどインフラ産業や不動産業など付随する業界の活性化にも繋がり、様々なところから期待が寄せられています。

日本航空(JAL)では2017年から最大5日間のワーケーションを取得できる制度を設けており、JTBも2019年から海外でのテレワーク制度を導入しています。7月27日に発表された両社の効果検証の実証実験では、仕事のパフォーマンスが20%改善したほかストレスの軽減にも繋がっていることが分かりました。一方、他の企業ではオンオフの切り替えが難しいという声や、社内の理解が得づらいといった問題があります。また企業としてもセキュリティ対策を強化する必要がある、労務管理がしづらいという問題が出ています。

このように一部では効果が見られている企業もありますが、まだ事例も少なく定着するには時間がかかりそうです。ゼロフィールド(東京都港区)によるリモートワークの不満に関する調査では、「自己管理が重要だ」と84%が回答し、およそ4人に1人が「自己管理ができていなかった」と答えています。ワーケーションは一概に効果が出るものでもなく、いかに自己管理ができるか次第なのかもしれません。

(写真はイメージ)