ダークマターの存在を直接検出か?

 ダークマターの正体が「WIMP」という粒子である場合、粒子ペアが出会うと「対消滅」を起こし、高エネルギーのガンマ線を放射する。米国ブラウン大学などの研究者が、天の川銀河の周りを回っている矮小銀河で地球から9万8000光年の位置にあるレチクル座2からガンマ線が放射されているのを検出し、ダークマターの存在を初めて直接捉えたものかもしれないと3月10日発表した。
 宇宙にはブラックホールやパルサーなど、ガンマ線を放射する天体が多数存在しているが、矮小銀河には既知のガンマ線発生源となる天体はないと考えられている。
 ダークマターの正体はわかっていないが、目に見える物質に重力的な影響を及ぼすことで存在が知られている。ダークマターが存在せず、目に見える物質だけで銀河が構成されているとした場合、銀河の回転運動で銀河はばらばらになってしまう。宇宙に存在する物質の約85%がダークマターであることが宇宙背景放射のゆらぎから計算されている。