
金属原子をほぼ完全に活用できる新触媒を開発 燃料電池の性能向上へ
名古屋大学は12日、燃料電池の性能を左右する触媒について、「理論上は100%使えるはず」とされる金属原子を、ほぼ完全に活用できる新たな設計法を開発したと発表した。高価な白金触媒に匹敵、あるいはそれを上回る性能を示し、次世代エネルギー変換デバイスの高効率・低コスト化につながることが期待される。この研究成果は英科学誌「Nature Communications」に発表された。
単一原子触媒は、金属を原子1個ずつばらばらに分散させた触媒で、理論上はすべての金属原子が反応に関与できる「究極の形」とされる。だが実際には、多くの原子が担体内部や微細な孔の奥に埋もれて十分に働くことができなかった。
研究チームは、昨年のノーベル化学賞で話題となった多孔性材料「MOF(金属有機構造体)」を前駆体として活用。界面活性剤を含む溶液を凍らせる「凍結鋳型法」により、粒子を薄い二次元状に並べる独自手法を開発した。さらに熱処理によって、金属原子を固まりにせず炭素中に固定。内部に適度な大きさの孔を持つ構造をつくり、酸素や電子がスムーズに行き来できるようにした。
その結果、燃料電池の要となる酸素還元反応で、金属原子の活性効率99%という極めて高い活性を達成した。従来は使い切れなかった原子まで反応に参加させることができ、今までの単一原子触媒だけでなく、白金触媒をも上回る電気化学性能を示した。 この研究は、単一原子触媒の高性能化において「使い切れない」という長年の根本的な課題を解決したという意義がある。白金など希少金属の使用量削減につながる可能性もあり、燃料電池の低コスト化や脱炭素社会の実現を後押しする基盤技術として期待される。

画像提供:名古屋大学(冒頭の写真はイメージ)

