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10月27日~11月9日は読書週間 小学生の読書数は増加

1027日~119日は読書週間。読書推進運動協議会は、第77回となる今年の標語を「私のペースで しおりは進む」とした。読書習慣に関する近年の動向や、官民のさまざまな取り組みを紹介する。

子どもの読書離れは中高生が顕著

全国学校図書館協議会が2022年度に実施した学校読書調査の結果によると、1カ月間の平均読書冊数は小学生(4~6年生)が13.2冊で、経年の推移は徐々に増えているが、中学生は4.7冊、高校生は1.6冊と、横ばいになっている。また、1カ月に1冊も本を読まない児童生徒は、小学生6.4%、中学生18.6%、高校生51.1%だった。

また、ベネッセ教育総合研究所が1019日に公表した「子どもの生活と学びに関する親子調査」の結果によると、蔵書数が多い家庭の子どもほど読書時間が長く、子どもの読書習慣には家庭の環境や保護者の働きかけが重要だと示唆されている。


家の蔵書数別、1日の読書時間(2019年データ)

*「あなたはふだん(学校がある日)、次のことを、1日にどれくらいの時間やっていますか」という設問の「本を読む」に対する回答(%)。
*小学1年生~3年生は保護者、小学4年生~高校3年生は子どもの回答。

読書週間にちなんだキャンペーン

文部科学省は10月27日、「子供の読書キャンペーン ~きみに贈りたい1冊~」と題して、子どもたちにおすすめの本を紹介する特設サイトを公開した。とくに読書離れの進む中高生を想定して、スピードスケート選手の高木美帆氏や狂言師の野村萬斎氏ら、各分野の著名人8人がコメント付きで選書している。

書籍を扱う出版社や書店も読書週間にさまざまなイベントを展開している。

KADOKAWAは10月27日から、「花を贈るように本を贈ろう~366日の本言葉~」の企画を開催している。同社のX(旧Twitter)やLINEで好きな日付を入力すると、KADOKAWAのさまざまなジャンルの本からセレクトされた「本言葉」画像が届くというもの。

「本言葉」のサンプル(画像提供:KADOKAWA)

一方、蔦屋書店は10月27日~11月9日の期間、コンシェルジュが選んだ文庫本を展開するフェア「コンシェルジュ文庫」を全国で開催している。「一生ものの、愛読書」をテーマに、25人のコンシェルジュが1冊ずつ選んだ本が、各店舗の展開コーナーや特設サイトで紹介されている。

全国の書店が参加するイベント「BOOK MEETS NEXT」が11月23日まで開催されている。全国の書店を利用してポイントを集めるスタンプラリーや、本の写真とハッシュタグをSNS投稿する企画などの各種イベントを開催している。

広がる読書バリアフリー

市川沙央氏による重度の障がいがある女性が主人公の『ハンチバック』が芥川賞を受賞したことをきっかけに、障がいの有無に関わらず誰もが読書を楽しめる「読書バリアフリー」への関心が高まっている。

オーディオブック配信サービス「audiobook.jp」を運営するオトバンク(東京都文京区)は、10月26日~11月9日の期間に渋谷で「audiobook.jp×天狼院書店 聴ける本屋さん」をオープンする。店内では紙の書籍とオーディオブックを並べ、自由に立ち読みや立ち聴きができるようになっている。

(画像提供:オトバンク)

また、Audible(オーディブル)は10月23日、読書週間にちなんでオーディオブックに関する調査結果を公表した。リスナーの30%が、自宅で家事や料理をしながら、または就寝前にオーディオコンテンツを聴取していることがわかった。また、過去12カ月間にオーディオブックを聴いた人のうち83%が、オーディオブックのおかげでより多くの読書をするようになったと回答した。

大人も子どもも、忙しい日々の中で本と向き合う時間が取りにくくなっているが、読書週間を機にさまざまな方法で本を楽しんでみたい。