子育て・教育現場にMaaSを導入 刈谷市が実証実験を開始

愛知県刈谷市で、市と複数の企業が連携し、習い事送迎や教育プログラムの提供など、教育と交通をつなぐ「放課後の子育てMaasプロジェクト」の実証実験が始まる。送迎が負担となり希望する習い事に通わせてあげられないなどの子育ての悩みや、子どもの放課後をより充実させたい、という教育ニーズに対応するねらいだ。

平日の放課後に習い事に通う子どもは多くいるが、その送迎のために、仕事や家事を調整したり他の兄弟との調整が必要となることもあり、親にとっては負担となるケースも多い。一方、近年は学童保育の担い手不足やあり方についての課題が社会的にも注目されるようになり、子どもが放課後の時間を豊かに過ごせるような場を整えていこうとする取り組みも増えてきている。

今回のMaaS実証実験は同市が抱える地域課題の解決を産官学共創によって推進する「刈谷スマートシティ」の取り組みとして実施される。

実証では、市内2つの小学校を対象に、小学校、つながりステーション(産業振興センター)、習い事先、自宅を相乗りタクシーでつなぐ。また、つながりステーションでは、宿題サポートやプログラミング教室など、独自の教育プログラムを提供するほか、習い事の時間まで子どもが待機する居場所としても利用できる。保護者は専用システムから予約する。

実証は、自動車部品を製造販売するアイシンがシステム開発・運用保守を行うほか、愛知県内で保育園や子供向けスクールを運営する名鉄スマイルプラス、タクシー会社の刈谷交通などの企業が参画している。

なお、実証は1月15日~2月16日の平日に実施され、期間中は無料で利用できる。

地域社会における交通・移動の問題を解決するための新たなサービスとして近年注目を集めているMaaS。過疎地での移動手段や、高齢者や旅行者の移動ニーズに応えるサービスなどは既に様々な実証実験が行われているが、今回のようなターゲットを子どもに絞った移動手段や居場所づくりにまつわるサービスも増えていくだろう。子育てや子どもの教育を地域社会で支えていく取り組みとしても、今後の展開に注目していきたい。

画像提供:アイシン(冒頭の写真はイメージ)