縄文土器に大豆を使った装飾発見 東京府中で一般公開中
金沢大学、中央大学、東京国立博物館の研究チームは、東京都府中市の遺跡から出土した縄文時代中期の土器に、現代の大豆と変わらない大きさの豆を押し付けて飾りとして使っていたことを明らかにした。縄文時代に、豆を飾りや儀式のために土器に埋め込んだことを示す初の事例となる。
最近、土器に残っている小さなくぼみ(圧痕)が注目されており、特に「レプリカ法」と呼ばれる調査方法を使うことで、縄文時代にも豆を栽培していたことがわかってきた。
今回の研究では、府中市の清水が丘遺跡で1984年に見つかった土器を調べ、装飾として線状に隆起するように土を貼り付けた部分に7つのくぼみが見つかった。これらのくぼみがどうやってできたのかを調べるために、レプリカ法でシリコンを使って複製を作り、顕微鏡で観察した。その結果、種子の形と大きさからこれらのくぼみは現代の大豆と変わらないサイズの豆によって付けられたものだとわかった。
さらに、X線を使って土器の中を詳しく調べたところ、土器の外からは見えない新しいくぼみが1つ見つかった。このくぼみも土器の飾りとして整形後に後から付けられた部分にあり、土器の本体には含まれていなかった。
この発見は、5月25日に発行された『新 府中市史 原始・古代 通史編』に掲載されている。また、見つかった土器は府中市郷土の森博物館に保管されており、7月20日から9月29日まで一般公開されている。
画像提供:金沢大学