小惑星リュウグウに太陽系最古の物質を発見、北大

北海道大学らの研究チームが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」から持ち帰ったサンプルの中に、太陽系誕生直後にできた最古の岩石を発見した。この成果は、7月16日付けの『CommunicationsEarth&Environment』誌で発表された。

これまでの研究では、リュウグウの岩石は低温(約40℃)の水と反応してできた鉱物が主だとされており、その生成年代は約45億6200万年前と推定されていた。しかし、この年代は「二次的にできた鉱物」のものであり、太陽系誕生直後の約1000℃以上の高温領域でできた最初期の“原材料物質”の年代はわかっていなかった。

同研究チームは、リュウグウ試料中に含まれる極小の「CAI(カルシウム・アルミニウム包有物)」の生成年代を、Al‑Mg放射年代測定という非常に精密な方法で計測した。その結果、リュウグウを構成する原材料物質の年代測定に世界で初めて成功し、CAIの年齢は約45億6730万年前であることが判明した。またこれは太陽系誕生直後の時期にあたる。加えて、これらCAIが0.1mm以下と非常に小さく、他の炭素質隕石に見られる大きなものがないことから、リュウグウは太陽系の遠く離れた領域で形成された天体である可能性が強まった。

今回の発見は、リュウグウが単なる小さな岩石ではなく、太陽系の最初期の“原材料物質”を含む重要な天体であることを初めて示した点で、大きな意味を持つという。今後は、この発見をもとに、リュウグウがどのように形成されたのか、また他の太陽系の天体がいつ、どこで、どのように誕生したのかを解き明かす重要な手がかりになると期待されている。

画像提供:北海道大学