
生命探査の新たな有力候補に浮上したスーパーアース「GJ 3378b」
「宇宙に地球のような惑星はあるのか」。その答えを探す生命探査の新たな有力候補が浮上した。天文学の専門誌「The Astrophysical Journal」2026年6月号に掲載された論文は、地球から約25光年離れた系外惑星(太陽系の外にある惑星)「GJ 3378b」の質量を最新データで再解析した。その結果、質量は従来の推定より軽い地球の約2.3倍と判明し、従来想定されていた「ミニ・ネプチューン(海王星より小さいガス主体の惑星)」ではなく、岩石を主体とする「スーパーアース(地球より大きい岩石惑星)」である可能性が高まった。今回の研究は新たな惑星を発見したのではなく、2024年に報告された惑星の性質を見直したものだ。
最も近い候補「プロキシマ・ケンタウリb」との違い
では、この惑星は2016年の発見以来、「最も近い居住可能惑星候補」として知られるプロキシマ・ケンタウリbより有望なのだろうか。距離では約4.2光年先にあるプロキシマ・ケンタウリbの方が圧倒的に近い。しかし、母星のプロキシマ・ケンタウリは非常に活動的な赤色矮星(太陽より小さく暗い恒星)で、頻繁に発生する強力なフレアや恒星風(恒星から吹き出す粒子の流れ)によって、惑星の大気が宇宙空間へ吹き飛ばされる可能性が指摘されている。そのため、生命が暮らせる環境を長期間維持できるかが大きな課題となっている。
一方、今回の論文が注目される理由は「大気を保持できるかどうか」に焦点を当てている点だ。研究チームは「コズミック・ショアライン(宇宙の海岸線)」という考え方を用い、惑星が大気を保てるかどうかの目安として、惑星の重力による大気の保持力と、恒星から受ける放射線による散逸のバランスを評価した。その結果、GJ 3378bは大気を保持できる惑星と失いやすい惑星の境界付近に位置すると結論づけている。大気が存在する可能性はあるものの、実際に保持しているかどうかは今後の観測を待つ必要がある。
「どこが近いか」から「どこが住み続けられるか」へ
現時点で、生命がいる証拠は見つかっていない。大気や液体の水が存在するかどうかも分かっておらず、その解明にはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)や次世代の超大型望遠鏡による観測が期待されている。この研究が示しているのは、生命探査の視点が変わりつつあることだ。かつては「ハビタブルゾーン(惑星表面に水が液体のまま存在できると考えられる領域)にあるか」が重視されたが、現在はそれに加え、「母星の活動は穏やかか」「惑星は何十億年も大気を保てるか」が重要な判断基準になりつつある。生命探査は「どこが近いか」から「どこが住み続けられるか」を重視する時代へ移り始めている。
(冒頭の写真は、ハビタブルゾーンにあるスーパーアースGJ 3378bの表面から見た想像図)

