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生研 見つめ合うことで脳活動が同じパターンになることを発見

生理学研究所と名古屋大学の研究グループが、機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)を用いて2者のコミュニケーション中の脳活動と瞬きの様子を同時に観察し、見つめ合うことで2者間の瞬きと大脳皮質下前頭回かぜんとうかいの活動が同期することを示した。26日に米科学誌『ニューロイメージ』に速報版として掲載された。

同グループは初対面の2人を被験者として、無意識的に発生する行動である「瞬き(目の運動)」の状態と脳活動を記録した。2日間の実験のうち1日目は、2人の見つめ合っている際の瞬きの様子と脳活動をfMRIで記録した後、見つめ合い状態からお互いに同じ対象物に注意を向けさせるというタスクを50分間行なった。2日目は同じペアの見つめ合い状態における脳の活動と行動を計測した。

その結果、1日目の見つめ合い時には瞬きに有意な同期は見られなかったが、2日目の見つめ合い時には瞬きに有意な同期が見られたという(図1)。また脳活動においては、1日目では大脳皮質の右中側頭回ちゅうそくとうかいでのみ同期が見られたのに対し、2日目では右中側頭回以外にも右下前頭回や腹側運動前野においても同期が観察された(図2)。観察された脳活動同期は瞬きの同期の度合いと関連があったという。

コミュニケーションの基本となっているお互いの目を見ることによって、脳活動を同期させることが同実験で示唆された。生理学研究所心理生理学研究部門の定藤規弘教授は、「脳活動パターンを同一にすることで、今後のコミュニケーションを円滑にしていく働きがあるのではないか」と述べている。

生研 見つめ合うことで脳活動が同じパターンになることを発見
図1

生研 見つめ合うことで脳活動が同じパターンになることを発見
図2

画像提供:生理学研究所
(写真はイメージ)