宇宙ごみを減らす「保証金」 衛星1基20万ドルで効果を試算

人工衛星の打ち上げが増える中、使い終わった衛星を宇宙ごみにしないため、「保証金」を活用する仕組みが提案された。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)などの研究チームは15日、『Nature Communications』で、衛星の運用者が打ち上げ時に保証金を預け、運用終了後に衛星を適切に処分すれば、保証金を利息付きで返す仕組みをモデル化した。

地球の地表からおよそ2000km以下の低軌道には、役目を終えた衛星などが残されている。衛星同士が衝突すると新たな破片が生まれ、宇宙ごみがさらに増える。研究チームによると、2010〜2024年に、自然には軌道から離れない状態にある衛星のうち、軌道から離れる措置が実施されたのは40%だった。

研究チームは、衛星1基当たり20万ドル(約3000万円相当)の保証金を設定するケースなどについて、25年間の変化をシミュレーションした。その結果、年間に放置される衛星の質量を3分の1以上減らせると推定された。

シミュレーションでは、多数の衛星を組み合わせて運用するコンステレーション衛星、単独などで運用する非コンステレーション衛星、小型のキューブサットの3種類をモデルに設定した。ただし、保証金は衛星1基当たりの金額として設定され、衛星の質量に応じた料金体系は検討していない。保証金を高くするほど宇宙ごみを減らす効果は大きくなるが、100万ドルを超える水準ではさらに高くしても削減効果はあまり増えなかった。

提案された仕組みでは、衛星を直接軌道から離れさせるほか、一定期間内に大気圏へ再突入する軌道へ移すことでも処分を完了したとみなされ、保証金が返還される。制度化には、どの状態を「適切な廃棄」と認めるか、処分に失敗した場合をどう扱うかといったルール作りが必要だ。また、保証金制度を世界の衛星市場の20%だけに適用した場合でも、宇宙ごみの増加を抑える効果が得られ、軌道環境の持続可能性も改善するとモデルは示した。衛星の打ち上げ時に保証金を預ける仕組みは、増え続ける宇宙ごみへの対策の一つとなる可能性がある。

画像提供:NASA(地球低軌道に存在する人工衛星や宇宙ごみを示したイメージ)