中国南西部でデニソワ人の骨を発見 謎の古人類の暮らしに迫る

中国南西部の洞窟から、謎の古人類「デニソワ人」の骨が見つかった。研究チームは9日、発見された骨や石器、動物の骨などを分析した2本の論文を英科学誌『Nature』で発表した。デニソワ人は、現生人類やネアンデルタール人に近縁な古人類だ。2010年にシベリアのデニソワ洞窟で見つかった指の骨のDNA解析から、それまで知られていなかった古人類の存在が明らかになった。しかし、発見された化石が少なく、どのように暮らしていたのかは詳しく分かっていない。

研究対象となったのは、中国雲南省の編幅洞(Bianfu Cave)だ。洞窟からは6万点以上の哺乳類の骨片が見つかっている。研究チームは骨の形や大きさなどから、人類の可能性がある22点を選んだ。これらを詳しく調べた結果、頭頂骨の破片2点と前腕の骨の破片1点がヒト科の骨と判定された。

これらの3点の骨片と、以前から出土していた4本のヒト科の歯のうち2本について、研究チームは骨や歯に残るタンパク質を調べた。骨や歯は、DNAが失われた後も、コラーゲンなどのタンパク質が残ることがあり、そのアミノ酸配列には生物の種類による違いがある。今回、3点の骨と2本の歯、計5点から、デニソワ人に特徴的なコラーゲンのアミノ酸変異が確認されたため、いずれもデニソワ人と同定された。デニソワ人の化石が見つかった地層は、約16万7000〜13万4000年前とされる。

もう一つの論文では、同じ編幅洞から出土した6万点以上の骨片を含む動物の骨と、1366点の石器などを分析した。動物の骨には、肉を切り取ったとみられる切痕や、骨を打ち割ったとみられる痕跡が残っていた。シカやウシ科などの中型から大型の動物を狩り、肉や骨髄などを利用していた可能性がある。また、動物の骨を加工した道具も確認された。

編幅洞の文化層は約19万~7万年前に及ぶが、この全期間をデニソワ人の活動と断定できるわけではない。今回の発見は、中国南西部におけるデニソワ人の存在を化石で示すとともに、石器や動物の骨に残された痕跡から、その暮らしを知る手がかりを増やすものとなった。

画像提供:Nature / University of Wollongong(中国・編幅洞の発掘現場。デニソワ人の化石や石器、動物の骨などが見つかった。)