東アジアの古代人類の多くはデニソワ人か 化石の特徴から系統を推定

東アジア各地で発見された中期更新世後期(約20万〜13万年前)の古代人類の化石の多くが、絶滅した人類集団デニソワ人に属する可能性が高いことが分かった。中国科学院の研究チームが、化石に残されたタンパク質の分析と、頭骨などの形態比較によって明らかにした。研究成果は10月21日、科学誌『Nature』に掲載された。

研究の出発点となったのは、中国北部の河北省陽原県にある許家窯・侯家窯遺跡群の侯家窯地点で発見された人類化石だ。1976〜1979年の発掘で、頭蓋骨の一部や下あごの骨など20点が見つかった。少なくとも16人分に相当するが、どの人類集団に属するのかは特定されていなかった。今回、研究チームはそのうち頭頂骨と下あごの骨の2標本からタンパク質を抽出して分析し、デニソワ人に特有のアミノ酸の変異を確認した。これにより、化石の持ち主がデニソワ人の系統に属することを特定した。化石の年代は約19万9000〜13万8000年前と推定される。

さらに研究チームは、2025年にタンパク質やDNAの分析からデニソワ人と確認されている中国・ハルビンの頭蓋骨と、許家窯の化石を比較した。その結果、頭蓋骨が上下に低く左右に幅広いことや、頭蓋骨の骨が厚いことなど、共通する特徴を確認した。こうした特徴を含め、研究チームは頭蓋骨だけでなく、下あごの骨や歯も対象に約200項目を調べた。これを金牛山(遼寧省)、大理(陝西省)、華龍洞(安徽省)など中国各地で見つかった化石と照合したところ、共通する特徴の組み合わせが認められた。研究チームは、東アジアの中期更新世後期の古代人類の大部分がデニソワ人の系統に属する可能性が高いと結論づけた。また、ほかの遺跡の化石も含めた比較から、デニソワ人は眉の上の骨が大きく張り出し、頬から上あごにかけて平坦で、顔が前方に突き出す度合いが弱かったと推定した。ただし、これらすべての化石からデニソワ人のDNAやタンパク質が確認されたわけではなく、形態的な類似に基づく推定だ。

デニソワ人は2010年、シベリアのデニソワ洞窟で発見された骨からDNAが分析され、新たな人類集団として報告された。その後、中国のチベット高原や台湾海峡の澎湖などでも関連する化石が見つかっている。今回の研究は、デニソワ人の身体的特徴を具体的に示すとともに、その分布が東アジアのほぼ全域に及んでいた可能性を示している。

(写真はイメージ)