水に加え、石器の材料も人類の居住地を左右していた可能性

人類が砂漠に進出するには、水の確保が欠かせない。しかし、水があれば必ず暮らせるわけではないようだ。石器を作るための石材も、人類の居住地を左右する重要な条件だった可能性がある。オーストリアやポルトガルなどの国際研究チームが、アラビア半島南部の砂漠を調査し、その成果を10月28日、科学誌『Nature』に発表した。

研究チームは2023年11〜12月、世界最大級の砂砂漠として知られるルブアルハリ砂漠で、約1500キロにわたる地質・考古学的な踏査を実施した。125地点のうち55地点で、かつて湖が存在したことを示す堆積物を確認した。このうち東部の5地点は、約12万2000〜6万7000年前の湖沼地層と関連付けられている。一方、調査した125地点では、石器など人類の活動を示す証拠は見つからなかった。石器製作に適した石材は、砂漠の西端と東端の計10地点で確認された。

同チームはさらに、地質図と復元した古代の河川網などを使い、アラビア半島全体の水と石材の分布を分析した。その結果、水に近いと推定される地域でも、57%は石器製作に適した石材を欠く地質に位置していた。一方、中期旧石器時代の遺跡363カ所の分布を調べると、水と石材の両方が得られる地域に集中する傾向が確認された。水だけでなく、石器の材料も人類の居住地を左右していた可能性が示された。

当時の人類は、石を打ち割って鋭い刃を作り、動物の解体や植物の加工などに使っていた。石器の材料が手に入らなければ、日常的に使う道具を作ることは難しい。遠くから石材を運ぶことはできても、長期にわたって暮らすには、身近に材料を確保できることが重要だったと考えられる。今回の研究は、人類が砂漠で暮らす条件として、水だけでなく石材の入手しやすさも、移動や長期的な居住を左右していたことを示している。

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