国連憲章に残る「旧敵国条項」 歴史と国連改革を考える手がかりに

第二次世界大戦中の連合国を背景に生まれた国際連合。その憲章には現在も「敵国」という言葉が残っている。高市早苗首相は22日、国連総会の一般討論演説で、この「旧敵国条項」について「早急に削除されるべきだ」と訴えた。戦後80年以上が過ぎた今、なぜこの条項が改めて注目されているのだろうか。

「旧敵国条項」とは、第二次世界大戦中に「敵国」だったドイツや日本などに関する国連憲章の規定だ。戦後間もない時代の国際情勢を反映した条文が、現在も憲章に残っている。

「連合国」と「国連」は、日本語では別の言葉だが、第二次世界大戦中の連合国には「United Nations」という名称が使われ、現在の国連もこの名称を引き継いでいる。1942年1月1日、26か国が「連合国宣言(Declaration by United Nations)」に署名したのが、この名称の最初の公式使用だった。その後、この名称が戦後の国際機構に採用され、1945年6月26日に国連憲章が署名された。憲章が発効し、国連が正式に発足したのは同年10月24日だ。

国連憲章には、第二次世界大戦中の「敵国」に関する規定が残された。53条は「敵国」を、第二次世界大戦中に憲章署名国の敵だった国と定義し、77条と107条にも「敵国」への言及がある。日本は1956年12月18日に国連へ加盟し、現在は加盟国の一つだ。

では、なぜこれらの条文は今も残っているのか。国連総会は1995年、旧敵国条項について「死文化」しているとの認識を示し、憲章から削除する手続きを開始する意思を表明した。さらに2005年の世界首脳会合の成果文書でも、「敵国」への言及を削除する決意が示された。しかし、国連憲章の改正には、通常の総会決議とは異なる手続きが求められるため、条文そのものは現在も残っている。

高市首相は今回、こうした国連での合意を踏まえ、旧敵国条項の早急な削除を訴えた。また、安全保障理事会についても、現在の構造が「1945年当時の国際情勢」を反映したままだとして改革を訴えた。第二次世界大戦後につくられた国連の仕組みを、現在の国際社会にどう合わせていくのか。旧敵国条項は、その歴史と国連改革を考える一つの手がかりとなっている。

画像提供:UN Photo/VH(1942年1月1日に26か国が署名した「連合国宣言(Declaration by United Nations)」)