済州島の海岸を歩くと、白い砂浜、黒い玄武岩の岩場、火山灰からなる地層、巨大な岩柱など、場所ごとに異なる景観が現れる。これらの海岸には、火山活動によって地形がつくられ、その後、波や流水による侵食や堆積によって姿を変えてきた歴史が刻まれている。
翰林の挟才海岸などでは、白い砂浜と黒い玄武岩が対照的な景観をつくっている。白い砂には細かな貝殻が多く含まれる。玄武岩は溶岩が冷えて固まった岩石だ。翰林沖に浮かぶ飛揚島は、特徴的な火山地形で天然記念物に指定されており、「屋根のない火山博物館」と呼ばれている。
島西部の挟才海岸の白い砂と黒い玄武岩。沖合に見えるのが飛揚島
海岸の崖には火山灰や火山礫などが何層にも重なった火砕堆積物が露出している所がある。波によって崖が削られたことで、噴火によってできた地層を断面図のように観察できる。
西端の水月峰(スウォルボン)からオンアル海岸にかけてのむき出しになった地層
黒い玄武岩が規則正しい柱状に割れた「柱状節理」も、各地の海岸で見られる。これは、溶岩が冷える際に収縮してできる規則的な割れ目で、断面が六角形などの多角形になることがある。特に大浦海岸では、高さ約30~40mの岩柱が約1kmにわたって連なり、屏風のような景観をつくっている。
中文・大浦海岸の柱状節理
さらに正房瀑布では、漢拏山の南斜面を源とする水が、柱状節理の発達した海岸の崖から直接海へ落ちる。高さ23mの滝は、火山岩と水による侵食が生み出した景観だ。
正房瀑布
済州市の龍潭海岸では、波や風によって削られた玄武岩の中に龍頭岩がそびえる。龍が昇天できずに岩になったという伝説が残る一方、地質学的には玄武岩が長い時間をかけて侵食され、現在の形になったと考えられる。
龍潭海岸の龍頭岩。夕暮れには黒い岩と海、赤く染まる空が重なる
白い砂、黒い玄武岩、火山堆積物の地層、柱状節理、滝、そして侵食された岩。済州島の海岸を巡ると、火山が地形をつくっただけでなく、その後も海や流水が岩を削り、地形を変えてきた過程を通して、済州島という火山島の歴史が見えてくる。