太平洋の海上監視に衛星技術 違法漁業対策の新システムを試験

太平洋の広大な海域で、衛星データを活用して違法漁業を監視する取り組みが進んでいる。太平洋諸島フォーラム漁業機関(FFA)は16日、2026年で最大規模となる共同監視作戦「KURUKURU 2026」の結果を発表した。

10月5〜16日の作戦では、約3050万平方キロメートルの海域を対象に監視し、衛星による検知は2万7000件を超えた。ただし、これは違法漁業の摘発件数ではない。船舶の目撃は149件、立ち入り検査は82件に上り、監視や情報分析を通じて重点的な確認が必要な船舶13隻を特定し、1隻を拿捕(だほ)した。

作戦はソロモン諸島のホニアラにあるFFAの地域漁業監視センターが調整し、加盟する17カ国・地域の関係者が参加した。各国の巡視船や航空機による海域の見回りに加え、衛星監視や情報分析を組み合わせた。複数の情報を照合してリスクの高い漁業活動や違反の可能性を評価し、各国当局による重点的な監視や取り締まりを支援した。

こうした監視を支える技術の一つが、衛星で船舶などが発する電波を捉え、発信位置を特定する技術だ。船舶の位置や進路などを自動送信するAIS(船舶自動識別装置)も広く使われているが、AISの情報だけでは船舶の活動を十分に把握できない場合がある。衛星で検知した電波の情報などを照合することで、船舶の動きをより詳しく把握できる可能性がある。FFAは今回の作戦で、米企業HawkEye 360などの衛星監視技術を活用し、新たな海上監視システム「Pacific Guardian Surveillance System(PacGuard)」の試験も実施した。

HawkEye 360は10月20日と23日、3基ずつの衛星群「Cluster 15」「Cluster 16」を相次いで打ち上げた。両衛星群は、複数種類の電波の観測と、観測データの地上への送信を同時に行えるアンテナ技術を備える。同社は、電波の収集能力を高めるとともに、観測データを地上へより速く届けることを目指す。打ち上げ後、6基すべてとの通信が確立され、初期調整が始まった。ただし、これらの新衛星がPacGuardで使われるかどうかは公表されていない。FFAは同システムを11月に正式発表する予定で、具体的な機能や従来の監視体制との違いが明らかになるか注目される。

(写真はイメージ)