
「永遠の化学物質」PFAS分解の鍵は“水の並び方”にあり!見落とされていた新事実を発見
「永遠の化学物質」と呼ばれるPFAS(有機フッ素化合物)の分解に新たな光を当てる研究成果が、2026年5月、学術誌『Nature Communications』に掲載された。中国の研究チームが発表したこの知見は、これまで見落とされていた「水分子の並び方」がPFASの分解効率を左右することを明らかにした。PFASの一種で、健康や環境への影響が懸念されて規制が進む「PFOA」の代替として利用されている別のPFAS「GenX」を実験条件下で97%以上分解することに成功しており、環境浄化技術に革新をもたらす可能性がある。
PFASは水や油をはじき、熱にも強い性質を持つため、フライパンのコーティングや泡消火剤、半導体製造など幅広い用途で利用されてきた。PFASは炭素とフッ素の強固な結合を持つため、自然界では極めて分解されにくく、生態系や人体への悪影響が世界的に課題となっている。この分解されにくい性質を持つことが「永遠の化学物質」と呼ばれる理由だ。これまでは、活性炭による吸着や超高温での焼却による処理をしてきたが、膨大なエネルギー消費やコストが課題となっていた。日本でも河川や地下水での検出が報告されており、環境省が実態調査や基準の見直しを急ぐなど、より効率的で低コストな処理技術の確立が求められてきた。
今回の研究のポイントは、紫外線と亜硫酸塩を用いて生成される「水和電子」の周囲に注目した点だ。従来の研究では、水和電子そのものが分解を促す主役だと考えられてきたが、同チームは電子を取り囲む水分子の配置が反応を左右することを発見した。水溶液をアルカリ性に調整することで、この水の並び方が変化し、水和電子がPFASを攻撃しやすい状態になることが分かった。このメカニズムの解明により、従来の技術では困難だった高度な分解が可能となった。
これらが直ちに実用化されるわけではないが、PFAS処理の効率を左右する要因について基礎的な理解が深まった意義は大きい。今後は、この「水の並び方を制御する」という新しい視点を応用し、低エネルギーで地球に優しい浄化システムの開発が進むことが期待される。

(冒頭の写真はイメージ)

