排水を浄化しアンモニアを回収する新触媒を開発 高知工科大・名大

高知工科大学と名古屋大学は27日、水質汚染の原因となる硝酸イオンを、次世代エネルギーとして注目されるアンモニアへ効率よく変換できる新しい触媒を開発したと発表した。排水の浄化と有用な資源の回収を同時に実現できる可能性があり、農業や工業排水の処理に加え、環境負荷を抑えて製造するグリーンアンモニアの製造技術として期待される。この研究成果は国際学術誌に掲載された。

硝酸イオンは、肥料や工業排水などを通じて河川や地下水に流れ込み、水質汚染の原因となる物質だ。一方、アンモニアは肥料の原料であるだけでなく、水素を運ぶエネルギー媒体としても注目されている。しかし現在主流のアンモニア製造法であるハーバー・ボッシュ法は、高温・高圧で反応させるため、多くのエネルギーを消費し、二酸化炭素を排出することが課題となっている。そのため、より環境負荷が少なくアンモニアを製造する技術の開発が求められている。

高知工科大学と名古屋大学の研究グループは、銅とコバルトを組み合わせた新しい触媒を開発した。この触媒は、反応が進むにつれて自ら構造を変え、より反応しやすい状態へ変化する「自己適応型」の触媒である。高度な分析装置とコンピューターシミュレーションを組み合わせた解析により、反応中に触媒表面が最適な状態へ再構築される仕組みを世界で初めて詳しく解明した。

実験では、銅が硝酸イオンを効率よく取り込み、コバルトが反応に必要な水素を供給することで、それぞれが役割を分担して高い性能を発揮することを確認した。アンモニアへの変換効率は95.4%に達し、銅系触媒として世界最高レベルの性能を示した。また、60時間以上連続で運転しても性能はほとんど低下しなかった。

さらに、硝酸濃度140ppmの模擬排水を処理したところ、世界保健機関(WHO)の飲料水基準である50ppmを大きく下回る7.45ppmまで低減することに成功した。排水の浄化と資源回収を同時に実現できる可能性を示す成果となった。

今回の触媒は常温・常圧で製造できるため、大量生産しやすい点も特徴だ。研究グループは今後、実際の排水を使った実証試験や耐久性の評価を進め、下水処理施設や工場排水処理設備への応用を目指すとしている。また、今回明らかになった自己適応型触媒の設計手法は、二酸化炭素の資源化や水素製造など、ほかの環境・エネルギー技術への応用も期待される。

(写真はイメージ)