
来年から大型魚の漁獲枠25%増 時代は「増えたマグロをどう使うか」へ
「せっかく網に入ったのに、なぜ海に返すのか」。今、クロマグロをめぐって漁師が複雑な思いを抱えている。日本近海では今年、定置網などにクロマグロが多く入っているが、漁獲枠を超えそうになると水揚げできず、放流しなければならない。定置網にはブリやサバなども入るため、クロマグロの放流作業で、狙っていた他の魚まで一緒に逃がすことになりかねない。なぜクロマグロには漁獲枠の制限があるのか。
漁獲枠を守りながら、いかに魚を生きたまま海に返すか
太平洋クロマグロは、かつて獲りすぎによって資源が大きく減少した。そのため国際的に漁獲量が管理され、将来もマグロを獲れるよう上限が設けられているのだ。近年は資源が回復してきたが、魚が網に入ったからといって、決められた枠を超えて獲ることはできないため、海に返すことになる。では、海に返せばそれらのマグロは助かるかというと、必ずしもそうではない。魚が網の中で傷ついたり、放流作業で負担がかかったりするためだ。
そこで、魚をできるだけ傷つけずに逃がす技術が研究されている。2018年に発表された小型クロマグロの実験では、網に設けた「緊急放流口」から逃がした場合の生残率が88%だった。一方、魚を水ごとすくい上げる大型のタモ網である水ダモでは13%、大ダモでは0%だった。放流方法によって生き残る割合に大きな差があるのだ。漁獲枠を守るだけでなく、どうすれば魚を生きたまま海に返せるかも重要な課題だ。
大型魚は25%増へ。「増えたマグロをどう使うか」の時代に
こうした中、2027年と2028年について、30kg以上の大型クロマグロの漁獲割当量を現在より25%増やすことで国際的に合意した。資源が回復してきたことを背景に、資源状態に応じて漁獲枠を調整する新たな管理方式が合意されたものだ。一方、30kg未満の小型魚は6%減らす。小型魚の漁獲を抑え、成長した魚を利用することで、将来の資源を確保する考えだ。なお、25%増は日本を含む中西部太平洋側全体の年間漁獲枠についてであり、日本の具体的な配分は今後決まる。
クロマグロは「減っているから獲れない」段階から、「増えた魚をどう利用するか」という段階に入った。漁師が魚を無駄にせず、将来もマグロを獲り続けられるよう、資源を守りながら利用するバランスが問われている。
(写真はイメージ)

