
低温で高効率のアンモニア合成触媒を開発 新メカニズムを解明 東京科学大
東京科学大学は29日、分子状の窒素イオンを含む新しい物質を使い、比較的低温・低圧で高い性能を示すアンモニア合成触媒を開発したと発表した。従来の非貴金属系触媒を上回る世界トップクラスの活性を実現し、新しい反応の仕組みも明らかにした。研究成果は国際学術誌に掲載された。
アンモニアは肥料や化学製品の原料として欠かせないほか、水素を効率よく貯蔵・運搬するエネルギーキャリアとしても注目されている。しかし、原料の窒素分子(N2)は極めて安定で、工業的な製法(ハーバー–ボッシュ法)では高温(450℃)・高圧(200気圧)が必要となり、多くのエネルギーを消費する。そのため、より穏やかな条件で効率よく作れる触媒が求められていた。
研究グループは、性質の異なる複数のイオンを一つの結晶に共存させる設計で、新しい物質「正方晶型逆ペロブスカイト酸窒素水素化物」を合成した。この物質には内部に数種類の陰イオンが取り込まれている。この物質をアルミナの表面に成長させ、コバルトを加えた触媒は、300℃・9気圧という比較的温和な条件で高いアンモニア生成速度を示した。100℃の低温でも活性が確認された。
高い性能の鍵は、結晶内に取り込まれた分子状窒素イオン((N2)–)である。このイオンは通常の窒素分子より結合が弱く、活性化しやすい。このイオンを介して反応が進む、従来とは異なるメカニズムが確認された。
この成果は、エネルギー消費を抑えたアンモニア製造や、再生可能エネルギーを活用した小規模な生産への道を開き、カーボンニュートラル社会の実現に貢献すると期待される。また、性質の異なる複数の陰イオンを材料設計に取り入れることで、これまで未開拓だった新物質群の探索と機能開拓にもつながる。

画像提供:東京科学大学

