ラット、「共感」で利他行動 窮地の仲間を救出

 報酬を期待せずに他者に利益をもたらす自発的な行動は、他者への共感を動機とした霊長類だけの行動と考えられてきた。しかし、げっ歯類であるラットが、溺れそうになっている同種の他個体を、その状況から助けようとすることがわかった。社会生活で重要な「他者に対する共感」について、関西学院大学の佐藤暢哉教授らが12日、独科学誌アニマル・コグニション電子版で発表した。
 実験は、ペアで飼育しているラットの片方をプールに入れ、もう片方を乾いた部屋に入れて行なわれた。プールで溺れそうになっているラットが渇いた部屋に移るには、乾いた部屋側のラットがドアを開ける必要があるようにしたところ、速やかにドア開け行動を学習した。どちらも水にさらされていない場合、ドアを開ける学習は起きなかった。以前、水にさらされた経験のあるラットを乾いた部屋に置いて実験した場合、経験のないラットよりも早くドア開け行動を学習した。このことは、自分が辛い状況を経験したことで、仲間を救い出す動機が高まったことを示す。また、仲間のいるプール側に通じるドアと共に、餌のある部屋に通じるドアのどちらを先に開けるか選ばせると、多くの場合は餌のある部屋のドアよりも、プール側のドアを先に開けた。つまり、ラットでも、苦境に立たされている仲間のラットと感情を共有できることを示している。

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