軍艦島など明治の産業革命遺産が世界遺産へ登録勧告

 政府は4日、ユネスコ世界遺産センターに世界遺産一覧表記載への推薦書を提出していた「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼,造船,石炭産業」について、諮問機関によって「記載」が適当と勧告されたと発表した。推薦案件の名称は「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」から変更された。
 遺産の内容は、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島、山口、岩手、静岡の8県11市にまたがる23の資産から構成される。
 維新前に西洋技術の導入のためにつくられたものは、長州藩の「萩反射炉」(山口県萩市)、薩摩藩の「旧集成館」(鹿児島市)、幕府直営の韮山反射炉(静岡県伊豆の国市)など。近代の産業施設としては、官営八幡製鉄所(福岡県北九州市)、三池炭鉱(福岡県大牟田市、熊本県荒尾市)、三菱長崎造船所(長崎市)、そして軍艦島として知られる端島炭鉱(長崎市)など。近代化において重要な役割を担った人材を輩出した松下村塾(山口県萩市)や、貿易商グラバーを中心に文化交流の拠点となった旧グラバー住宅(長崎市)も含まれる。
 これらの遺産は、日本の近代化が幕末から西洋技術を導入して極めて短期間で飛躍的に成し遂げられたプロセスを証明する資産群であり、経済大国日本の原点とも言える貴重なものである。
 世界遺産への記載の正式な決定は、6月28日から7月8日までドイツのボンで開かれる世界遺産委員会においてなされる。記載されれば日本の世界遺産としては14年に記載された「富岡製糸場と絹産業遺産群」に続く18件目となる。