睡眠中にSTPDケア トラウマ記憶が音で減弱することをマウスで確認

PTSD、睡眠中に“音”で減弱 筑波大などマウスで確認

筑波大学と英オックスフォード大学の共同研究グループは、マウスを使った実験で、睡眠中にトラウマ(心的外傷)記憶に関連する音を聞かせると、トラウマ記憶が弱められることを発見した。今後、心的外傷後ストレス障害(PTSD)のメカニズムの解明とともに、心理的負担の少ないPTSDの治療法の開発が期待される。12日に『サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)』オンライン版に公開された。

PTSDは、震災や戦争などのつらい体験で心に深い傷(トラウマ記憶)を負うと発症することがあり、日常生活のあらゆる場面でのトラウマ記憶のフラッシュバックや不安、不眠、悪夢などの症状が生じる。近年、治療法が確立されつつあるが、治療には3カ月程度かかることや、つらい記憶を繰り返し思い出さなければならないことによる精神的な負担が大きいため、新しい治療法の開発が求められていた。研究グループは、夢が睡眠中の記憶の処理に関わっていることに注目し、睡眠中にトラウマ記憶を弱める方法を検討した。

今回研究グループは、PTSDの研究でよく用いられる実験方法で検証した。マウスに特定の音を聞かせながら軽い電気ショックを与えると、それ以降、マウスはその音を聞くだけでおびえた反応をするようになる。研究グループは、音を聞かせて電気ショックを与えた後4時間以内に、睡眠中のマウスに同じ音を小さな音量で聞かせた。すると、24時間後に再びマウスに電気ショックを与えた時の音を聞かせると、睡眠中に音を聞いたマウスは、音を聞いていないマウスよりもおびえた反応が弱くなった。さらに、おびえた反応が弱まるのは、ノンレム睡眠中に音を聞いた時のみであることが明らかになった。睡眠中に、精神的な負荷のない形でPTSDを治療できる可能性が示された。

今後、研究グループは、トラウマ記憶が弱められたメカニズムの解明に取り組んでいくという。

(写真はイメージ)

 
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