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日EUのEPA合意 欧州ではどう報道されたか? ドイツ・フランスから

7月6日、日本と欧州連合(EU)の首脳会談がブリュッセルで開かれ、4年にわたる交渉を経て日欧間の経済連携協定(EPA)が大枠合意をみた。日本とEUのGDPの合計は世界全体の3割に当たる。同協定は今後、日本およびEU加盟各国議会での承認を経て、2019年の発効を目指すことになる。大規模経済圏での自由貿易への合意に対する、日本およびEU主要国の反応を取り上げてみたい。

日本側の関心と懸念

EPAでは日本とEU間における多品目での関税が撤廃されるが、この中でも大きな焦点となったのは、日本の自動車と欧州の農産物。これに対し日本農業新聞は「日欧EPA大枠合意へ ソフトチーズ輸入枠 3.1万トンで決着」と7月6日付の速報枠で報じた。EU産チーズの取り扱いにおいては、カマンベールやモッツァレラなどのソフト系チーズに対しEPA発効時に2万トン、16年目からは3万1000トンの輸入枠が設置される。これが国産の直接消費用ナチュラルチーズの生産量を上回るとして、同紙では国内産業に対する影響を懸念している。さらに、日本国内でチーズに次いで関心を集めたのがEU産ワインの関税撤廃だ。これまでボトル1本あたりに93円の関税がかけられていたものが、EPAの発効により即時撤廃されることになる。

日EU経済協定の政治的意味

フランスのル・モンド紙は今回のEPA大枠合意に対して、「自由貿易:ヨーロッパと日本の象徴的な協定」という見出しで報道。今年1月に環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱した米国のトランプ大統領が保護主義を推進していることに触れ、EUが自由貿易を一歩進めた状況を指して「EUが反発をアピール」「EUこそが自由貿易のチャンピオンだと世界に証明しようとしている」と伝えた。また、米国中心主義だった日本の関心がEUに向き、それが今回のEPA合意に拍車をかけたという背景があると指摘した。
日EU間のEPAに対しては、「新時代にふさわしい協定」、「食品の輸入に対して極めて閉鎖的だった日本がその市場を開いた」として肯定的に評価。特にチーズおよびワインに対する関税撤廃は、最大のチーズ・ワイン生産消費国であるフランスにとって大きな意味を持つことは疑いの余地がない。

反対派の主張とは?

ドイツ公共放送ARDのニュース番組「ターゲスシャウ」は、「我々は成し遂げた」とドナルド・トゥスク欧州理事会議長のコメントを引用し、EPAの大枠合意について報道。EPAの意義は、経済成長と新たな雇用創出にあるとしながらも、これに対する反対派の見解も大きく報じた。
反グローバリゼーション派は、グローバル資本主義によって各国間の格差が広がり、環境破壊などにもつながるとしてインターネット上でEPA反対の署名活動を活発に展開。EPA大枠合意直後にはドイツ・ハンブルクでG20首脳会議が開催されたが、これに対する反対派の抗議行動でもEPAは主要テーマのひとつとなった。環境保護団体のグリーンピースは「日本の捕鯨問題がこの協定では一言も触れられていない」と批判。これに対しEU側は、「捕鯨問題とEPAには直接の関係がない」と指摘、「いずれにしても、クジラ関連商品のEUへの輸入は認めない」と述べている。

執筆:天野夏海(フランス)、塩野輝美(ドイツ)

(画像はイメージ)

 
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