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長崎外海の教会を訪ねる 出津教会堂と黒崎教会

長崎外海の教会を訪ねる 出津教会堂と黒崎教会

長崎市街から北西に30kmほど行ったところに、外海そとめという地域がある。ここは遠藤周作の小説『沈黙』のモデルとなった地域で、かつて多くの隠れキリシタンが潜伏した地だという。明治・大正期に建てられた2つの教会を訪ねた。

まず訪ねたのは、出津教会堂。当時、西洋の先進技術を教え、福祉活動にも尽力したフランス人宣教師ド・ロ神父が設計した希少な初期教会として、2011年に国の重要文化財に指定された。1882年に完成し、一部の増築した以外は当時の姿のままだという。集落を見渡せる高台に建つ教会は、外壁は煉瓦造りで白い漆喰の壁、玄関は石作り、内部は木造の三廊式さんろうしきの漆喰塗り平天井、木造平屋という造りになっている。地元の人が言うには、屋根が低く、窓は開き窓ではなく引き戸になっているのは、東シナ海から吹き上げる海風に耐えられるようにするための工夫だという。教会内に装飾的なものはほとんどなかった。我々を迎えてくれた教会の方は「教会が建てられた時から朝の祈りが絶えることはない」と、誇らしげに話してくれた。

長崎外海の教会を訪ねる 出津教会堂と黒崎教会

次に、黒崎教会へ向かった。1897年にド・ロ神父の指導で敷地が造成され、1920年に完成したレンガ造りの教会だ。山田洋次監督の映画『母と暮らせば』(主演:吉永小百合、二宮和也)のロケ地としても知られている。この教会は建築計画から完成まで20年以上を要し、多くの人たちの協力を得ながら建てられたという。教会内部は奥行きが深く、リブ・ヴォールト天井と呼ばれるいくつものアーチ型と曲面の組み合わさった高い天井と、ステンドグラスから差し込む日の光が印象的だった。

長崎外海の教会を訪ねる 出津教会堂と黒崎教会

長崎外海の教会を訪ねる 出津教会堂と黒崎教会
教会入口にあるマリア像の下には、建設当時の経緯が記される

【施設情報】
出津教会堂
長崎県長崎市西出津町2633
内覧時間:9:00~17:00
第1・第3日曜日はミサの執り行いのために10時まで堂内見学不可。
見学を希望する場合は事前連絡が必要。

黒崎教会
長崎県長崎市上黒崎町26
内覧時間:9:00~17:00

(冒頭写真は黒崎教会)