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木彫りの町・富山県南砺市「井波美術館」で心の休日を

木彫りの町・富山県南砺市「井波美術館」で心の休日を

富山県南砺なんと市の井波は、散居村で名高い砺波平野の南端に位置し、古い町並みが残る、日本一の木彫りの町だ。町の中心を貫く石畳の八日町通りには、数多くの彫刻工房が軒を連ね、心地よい木槌の音が響いている。
ここは、木彫りの町であるとともに、多くの芸術家が集う美術の町でもある。八日町通りにある「井波美術館」には、彫塑、現代工芸、造形を始めとして、地元作家の現代美術作品が展示されている。1987(昭和62)年に旧北陸銀行を転用して開館した。井波美術協会員が母体となり会費と公的補助金を資金として作家たちが企画と運営をしているという。

古くは、井波別院瑞泉寺の再建に携わった彫刻師や塗師が明治時代、展示会に作品を出品し、入選したことで、職人でありながら同時に芸術家というスタイルが定着し、以後、現在に至るまでこのスタイルが継承されているそうだ。

木彫りの町・富山県南砺市「井波美術館」で心の休日を
八日町通り

木彫りの町・富山県南砺市「井波美術館」で心の休日を
美術館 外観

美術館にそっと足を踏み入れると、やわらかな静寂に包まれる。若い女性のスタッフの方が優しく出迎え、「ゆっくりしていってください。ソファもありますから。腰掛けておくつろぎください」と声をかけてくれた。旧北陸銀行の建物をそのまま使っているとあって、ギリシャ風のすっきりした洋館のたたずまいだ。こんな山奥にこれほどしゃれた建物があることに驚く。1、2階が吹き抜けの構造で、天井には八つの突起が出た円形の模様が描かれている。

木彫りの町・富山県南砺市「井波美術館」で心の休日を
吹き抜け天井

ソファに腰をおろし、作品一つ一つをゆっくり観ていくと、少女が高い椅子に腰掛けている彫像に目が留まった。「ウオーミングアップ」というタイトルだ。静かに目を閉じて呼吸を整え集中している様子が伺え、少女の息使いと体温までが伝わってくる。アスリートの佇まいを感じさせるこの少女に呼吸を合わせ、ゆっくりと息を吐いてみると、普段の喧騒と慌しさがはるか彼方へと消え失せていくようだ。

木彫りの町・富山県南砺市「井波美術館」で心の休日を
作品右「ウオーミングアップ」、左「漆黒と金色のバッタ」

少女の隣りには、真っ暗い闇の中に金色のバッタが数匹浮かび上がっている絵画が展示されている。漆黒と金色のコントラストが見事だ。二階には「想い」というタイトルの作品があり、女性とも男性ともとれる人物が祈りを捧げているように見えた。

木彫りの町・富山県南砺市「井波美術館」で心の休日を
作品 「想い」

出会いは縁だ。すべての作品が自分自身とつながっているように感じられた。時代と時間と空間を超越した何かを感じさせる不思議な町、井波。生活の中で息が詰まったときには是非訪れてみて欲しい。

冒頭の写真は、八日町通りにある木彫刻野村清宝工房の人間国宝・野村清宝さん

【施設情報】
井波美術館
932-0234 富山県南砺市井波3624
http://www16.plala.or.jp/inami-museum/
TEL:0763-82-5523
開館時間:午前9時~午後4時(火曜日休館)

 
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